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プロジェクト背景
団地型社宅の活用

団地再生を沿線価値、エリア価値の向上につなげる

小田急線 座間駅は、都心から1時間弱の急行通過駅。その駅前ロータリーとプラットホームに隣接して、4棟の階段室型団地建物が建っていました。

土地建物の所有者は小田急電鉄。従前の用途は家族向けの社宅。
2011年の現地調査時において、4棟のうちの2棟は耐震強度に不安があることを理由に使用されておらず、敷地は鋼板の仮囲いに覆われていました。

当初は駅前再開発が計画されていたものの、沿線でも有数の低額賃料駅であることと建設価格の高騰が理由で、既存建物の活用、収益化を図ることになりました。

駅前にずらりと並ぶ団地の姿は、座間の街の印象を形作ります。
人の住まない建物が並ぶ街の印象が良いはずがありません。

しかし裏を返せば、そのネガティブな印象は
使われ方次第で全く反対の好印象を強烈に打ち出すことができるということ。

建物だけでなく座間という街全体の価値を根底から変えることのできる建物たち。
私たちの眼には、そんな高いポテンシャルを秘めた建物に映りました。

ブルースタジオは当プロジェクトにて、企画、設計監理監修、ブランディング・プロモーション及びイベントコーディネートを手がけました。

コンセプト
団地再生は街再生

人と人、人と街がつながる、こどもたちの駅前広場

駅の目の前に団地があるという座間駅固有の状況を活かし、
私たちは、団地の豊かな外構部分を「みんなが集う駅前広場」と見立てました。

そもそも郊外住宅地の駅前とは、世代を超えて人々が集うことができるまちの中心。
だからこそ、団地の1階部分と敷地には、駅前だからこそ存在し得るさまざまな公益施設を誘致し、団地の環境を積極的にまちに開くことを試みました。

車のいない安全な駅前広場は、子どもたちの笑い声と人々のおしゃべりで満たされます。

駅前という共働きの子育て家族や高齢者にはもってこいの住環境を座間という街のブランドイメージの中核に据え、建物の再生のみならず、沿線、エリアの価値の向上につなげること。それが当プロジェクトの大きな構想です。

デザイン
敷地と1階を街に開く

公共に資する空間として団地環境を開放する

郊外住宅地の駅前というロケーションと団地住棟間の豊かな敷地。
当プロジェクト固有の状況を最大限に活用し、
団地の1Fと外構を公共に資する空間として積極的にまちに開きました。

外構には、サポート付きの貸し菜園、ドッグラン、子どもたちが大好きな芝生で覆われた築山。住棟の1Fには、農家カフェやキッチン付きの集会所を設けたほか、耐震補強の上、3住戸分をつなげた座間市の子育て支援センターを設けました。
これらの施設のすべてを地域の人たちのために開放しています。

また、1Fの住戸はベランダと腰壁を撤去してウッドデッキを設置。
すべて庭付きの住戸とし、広場から直接アクセスできるようにしました。

プロモーション
「物語」を紡ぐ

座間・ホシノタニ団地のものがたり

起伏に富む地形をもつ自然豊かな座間駅近辺は、
古八王子街道の宿場町として昔ながらの町並みが残り、
千年以上の歴史をもつ社も健在という多様な文脈の宝庫。
この街だからこその「暮らしの物語」を、私たちは紡いでいきました。

「いさま」(座間)の古刹・星谷寺にある昼でも満天の星を映すという伝説の井戸。
その千年の歴史を受け継ぐ団地は、「ホシノタニ団地」と命名。

プロジェクトの各段階で一貫したストーリーを与えながら、ロゴマーク・建物壁画・サイン等をはじめとするVI、コンセプトテキスト・プロモーションブログのプロディースを含むWEBサイト制作、紙媒体広告デザイン、現地モデルルームの家具コーディネートなどを手がけ、人びとの共感を集めていきました。

その後の展開
価値を街に連鎖させる

マーケットの定期開催と駅前商業床リーシング

ブルースタジオは、当プロジェクトのブランディングにおける重要な仕掛けである
定期開催のイベント「ホシノタニマーケット」のコーディネートを担当しています。
竣工時に開催したマーケットには、当エリアに暮らす人たちを中心に約800人が訪れ、地域の人々とホシノタニ団地に興味をもった人たちをつなぐきっかけとなりました。

まちに開かれた広場に溢れる子どもたちの笑顔は、座間の未来予想図。
このような街の姿に共感した人たちが、沿線・エリア内外からの移住を決めました。
第2回のマーケットには1回目を上回る約1000人が訪れ、共感の輪が広がりつつあります。

今後、ホシノタニ団地のブランドイメージを座間の街に連鎖させ、
駅前の商業施設や近隣商店街のテナントリーシングを始めとした「街のリ・ブランディング」によりエリア、沿線の価値の向上につなげていきます。



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