Concept
京浜急行「大森町」駅から徒歩2分。住宅街の中、時が止まったかのように佇む木造建築群が大森ロッヂである。昭和30年代に建てられたと思われる風呂無し木賃長屋7棟+母屋1棟の計8棟が、路地や庭を介して同一敷地内に建ち並ぶ。
高度経済成長の最中には大森界隈の工場労働者の暮らしを支えていた長屋も、今はその役割を終え、住み手も無く・建物の老朽化は進み・庭は荒れ、その存在意義は失われようとしていた。
改修にあたっては、「新たなニーズへの訴求/周辺地域・街並みへの配慮/計画地が持つ社会的な存在意義」を意識し、単に建物の性能やデザインの向上を図るだけでなく、住まい手の属性や管理・運営など、ソフト面のコンサルティングも行った。既存の素材や建具・金物など、再利用出来るものは極力生かしつつも、内装は、梁を見せて天井を高くとり、床の畳を杉板張りに替え、現代のライフスタイルに合う仕様に変更。実際の面積以上に広がりが感じられる空間になった。外装はほぼ既存の下地を生かして塗装を行い、イメージを刷新した。