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INTERVIEW No.49
ザ・パイホール・ロサンゼルス / オーブン屋 / むさしの野菜くらぶ /
5戸の店舗兼用住宅を含む13戸からなる、なりわい長屋hocco。駅から離れた住宅地のどまんなかに、hoccoはあります。“普通のお店”とは環境が異なるこの場所でお店をひらく方々はどのようなことを考えているのでしょうか?
それぞれの「なりわい」を営むことができるhoccoでお店をオープンした方・移動販売にくる方に、「hoccoならではのお店」のお話を伺いました。
御巫朋子(以下、御巫) 13S:The Pie Hole Los Angeles Koganei Park(以下、Yさん or Tさん)
ここならやっていけるなって思った
御巫 |
2022年7月にお店をオープンしておよそ1ヶ月になるThe Pie Hole Los Angelesさん。hoccoのことはどうやって知ったんですか?
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Yさん |
元々近所に住んでいたんです。4月のイベントの時に、自分は行けなかったのですが、写真とかですごいたくさんの人が集まって楽しそうにしている姿をみて、すごいいいなって思って。
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Tさん | この間、店が閉店した後に、目の前の本屋さんと玉草屋さんにお呼ばれして、3組と猫3匹で一緒に夕飯を食べる機会があって、その時に、僕らも受け入れてもらえたというか、みなさんそういう雰囲気の方が集まっているな、ここならやっていけるなって思って。みなさんそれぞれのキャリアがあって、なおかつここを選んでいるっていうのは、そういう、共通の価値を見出しているのかなって思いました。 たとえば駅前ならば、もちろん商店街はあるだろうけれども、こうやって自然に集まって、みんなで集まって、ごはん食べて、お酒を交わして、お話ししてっていうのはなかなか生まれにくいと思うんです。それがここならば自然な形で、穏やかな感じに、みんなが集まれるので、ここでお店始めてよかったなって。 |
コミュニケーションを子どもたちに見せていきたい
Tさん | コロナがあって、コミュニケーションが無くなってしまったと思っているんです。大人どおしが会話して、近所どおし仲良くなっていくんだよっていうことも、子どもたちに見せられたら良いなと思っています。 |
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Yさん | 夏休みにもなって子どもも増えてきたもんね。 |
Tさん | お母さんと赤ちゃんとか、お散歩しているワンちゃん連れとか、あとはコーヒー好きのおじさんとか、話にきてくれて。 |
御巫 | かなりいろんな世代の方がいらっしゃるんですね。 |
Tさん | いらっしゃいますね。甘いものって世代問わず好きだと思うんです。パイってあんまり普段は見かけないというか珍しいと思うので、それもあってお客さんが買いに来てくださっている気がします。 |
Yさん |
すでに何回も来てくださっている方もいますね。こんな場所にパイのお店ができると思っていなかった!って言ってくださることもあって嬉しいです。
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御巫朋子(以下、御巫) 05S:オーブン屋(以下、Tさん)
ゆったりお客さまとコミュニケーションを取りながら
御巫 | どういう経緯でhoccoのことを知ったのですか? |
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Tさん |
hoccoの工事をやっている方が知り合いで、「こういう物件やってるよ」みたいにオーナーに話がいって。その時に私も一緒に現場を見に来たんです。当時新しく居酒屋をはじめようと話していたのですがコロナもあったので、テイクアウトでいこうかって。
メインはやっぱり、独身の方というよりはお子様がいる家族の方が多い印象があります。近くにマンションもあるので、単身の方よりはファミリー層向けかなって感じですね。大人向けのものと、お子様でも食べられそうなものと、ということは意識して作っているつもりです。
住むってことに関しては、かなり環境的には良いと思っています。過ごしやすいし、静かだし、良いかなと思う反面、なかなか売るとなるとちょっと難しいところも正直ありますけれども、でもなるべく、ゆったりお客さまとコミュニケーションを取りながら、やるって意味ではいいかなって思います。
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御巫 | 近隣の方がhoccoをどう捉えているように感じますか? |
Tさん | まだ完全な認知はされていないのかなと思いますけれども、ただ元々昔から住んでいた方はけっこう驚かれていて。何もないところにおしゃれな建物できたんだ!って。私もそうですけれども、十何年も前と比べて全然様子が変わったというのもありますし、けっこうお客さんに言われますね。だから、気にかけてくれているのはすごい伝わってきます。 |
少し遠回りして、ぷらっと立ち寄れる場所
御巫 | このあたりってあんまりお店がなかったと思うのですが、そういった面で何かエピソードはありますか? |
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Tさん | そうですね、「ありがたい」みたいなお話はしていただけていますね。なんか、今年、雪降った時も、遠くにいけないからよかった!て言ってもらえて。そうやって、遠くに行くのがちょっと面倒という時とか、夕飯作るのが面倒という時に、つかってもらえたら良いかなって。 気軽に、敷地内に入って来られるようにするにはどうしたら良いだろうって話を先日他の入居者の方としていたんです。派手にやるような場所でもないイメージだったので、フリマとか、今日みたいにお野菜販売とか、ちょっとあそこ何かやってるよくらいな感じでやれたら良いなって思っています。 |
御巫 | 通りすがりでここにくるってイメージですか? |
Tさん |
そうですね。静かに過ごしやすくて、ちょっと過ごしやすいくらいがちょうど良いのかなって思いますね。お野菜があるのも、ほんとよかったなって思います。特にうちは助かるんで。なんにせよまずは興味を持ってもらうことが第一だと思っています。それでなんとなく、ここにくることが意識なく習慣化されたら良いなって思います。
商店街って話もあったので、なんとなく帰り道とかに少し遠回りして、ぷらっとhoccoに寄ろうかなくらいの感じで、来ていただけたらなと思います。
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お店と住居が両立できる「静かで気持ち良い」
御巫 | hoccoの気に入っているところってありますか? |
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Tさん | 店としては賑わっていてほしいなとも思うんですけれども、軒先に座って外をみていると気持ちいいなって思っちゃうんですよね。定期的にくるキッチンカーさんも話していたことなのですが、気持ち的にはそれくらい、心地よい空間なんだなって思います。 |
御巫 | 気持ち良いですもんね。 |
Tさん | 寂しいとも言えるけれども、それがポイントなんじゃないかなって思います。これがないと、住んでいる方もいらっしゃるので、「静かで気持ち良い」というのがなかったら、たぶん、お店と住居が両立するのは、この環境じゃないとたぶんできないと思います。これがたぶんちょうど良いんだなって思います。 |
御巫朋子(以下、御巫) むさしの野菜クラブ(以下、塩澤さん)
住む人も地域の人もつなげる接点
御巫 |
普段は何をされていて、今日は何をしているんですか?
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塩澤さん | 普段は武蔵野市に住むサラリーマンですね。ただ、「むさしの農業ふれあい村」という武蔵野市のNPO法人の理事もやっているんです。農業公園の運営の委託を受けて行っているのですが、生産緑地を借りて、自分達も栽培をはじめるようになって、農家さんとのつながりもでき、また我々も武蔵野市の農業者の一員になったから、武蔵野市内の農業の振興に協力したいなと。hoccoにくるのは今日で2回目です。春にイベントをやった時にも来ました。 今回野菜販売で出店したのも、この地域の人と、市内の農家さんをつなげるっていう意味合いもあるので、こういう場所があるのってありがたいです。 |
御巫 | けっこう、先ほどから買いに来られるお客さんって、「この野菜なんですか?」ってきかれる方が多いですよね。 |
塩澤さん | そうですね、武蔵野市って、農地が少ないんですよ。市民一人あたりの面積が多摩地域で一番小さくて。なので、ぜひとも、これ以上無くならないようにしたいなって思って。そのためには市民の方に知ってもらうことが大切だと思っていて。
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御巫 | 塩澤さんからみてhoccoはどうですか?こういうのを販売する場所があるってこと自体、大事なことなのかもしれないとは思うんですけれども。 |
塩澤さん | いや、ここがこういう場所になるって全然思っていなかったので、前はほんとにバスの回転場と駐車場だけで、さらにその前にいくと、あっちのマンションもURの低層の団地で、その時のことを考えるとすごい変わった印象なんですけれども、でも確実にいえるのは、駐車場よりここにしてよかったなって。絶対それは地域にとってよかったと思うんです。こういう、立ち寄りたくなる場所があるって。 そのマンションの人たちは、わかんないですけれども、地域と接点がそんなにないとおもうんですよね、だからこういう接点となる場になるんじゃないかなって、そういう場所になってもらいたいなって思います。もちろんここの入居者との交流もあるだろうし、こういうことを通じて、地域との接点になってほしいですね。 |
武蔵野市内産の野菜の販売日にあわせて、インタビューが行われた夏の一日。 塩澤さんの販売するお野菜がオーブン屋さんでお惣菜として調理され、さっそく販売されるというコラボレーションの場面もありました。
この日のインタビューの様子は、他の方のインタビューもあわせて、動画として公開中です。 ぜひご覧ください。 https://youtu.be/TDafBztGW0o
ザ・パイホール・ロサンゼルス / オーブン屋 / むさしの野菜くらぶ
2022年7月23日 東京都武蔵野市桜堤『 hocco 』にて
取材:御巫朋子 文:太田歩(bluestudio)
撮影:御巫朋子(動画)、千葉顕弥、koichi ogasawara、太田歩(bluestudio)
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