blue studioトップページ > Magazine > INTERVIEW > No.48 <ひとりひとりの EPISODE を花で表現> 橋本藍 / Ai Hashimoto
INTERVIEW No.48
橋本藍 / Ai Hashimoto
2006年、お母様とはじめられた花屋。そこではフラワーアレンジメント教室を中心に販売に生け込みと、お花・植物に関わること、できること全てを提供していた。子育てをしながらお店に立ち、そこで生まれた地域との関わり・子育てで得た繋がりをもっともっと活かすためにカフェを併設したお店を4軒となりに2018年リニューアルオープン。ブルースタジオで店舗デザインをお手伝いさせていただいた、On Flowers 東中野を営んでいる橋本藍さんにお話しを伺いました。
ブルースタジオ(以下、BS) 橋本 藍(以下、橋本)
花との距離
BS | 今の職に就くきっかけを教えてください。 |
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橋本 |
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ここで生まれたモノとコト
BS | 花とカフェ。カフェもあることで何か生まれたことはありますか。 |
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橋本 |
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美しいエピソードの数々
BS | 橋本さんの Instagram は吸い込まれるような感覚でいつも読んでいます。どんな想いで綴っているのでしょうか。 |
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橋本 |
どんな職業でもそうだと思うんですけど、花屋ってとっておきのエピソードが山のようにあるんです。その花がどういう想いで私たちにご依頼くださるのか。プレゼントする相手への想いを伺って素敵―!と思うこと、共感できることが本当に多くて。その私の感じた思いや日々のホッコリとしたメッセージを伝えたい・聞いてほしいと思って発信をしてい
ます。花屋が話すエピソードって私のことではなくその花の先にあるモノなんですよね。誰の目線でどういう風な表現をすると、この素敵なエピソードを相手に伝わるのかなって考えています。だから私の Instagram ってかなりの文字数なんですよね。書きたいこと・伝えたいことをワーって打って、整理。投稿したあとはスッキリしています。昔はブログを書いていたんですが、その時って誰に向かって書いているんだろうって思っていた時期がありました。どう表現していいのかわからなくて、その時はとにかく発信するということを考えて書いていたことがあって。でも今は自分を前に出すことではなく、お客様のエ
ピソード紹介、花屋として書き手として発信をしています。そんな長―い文章を読んでくださる方が多く、常連のお客様でなくても、お店にはじめてこられる方との距離を近く感じられるんです。「いつも Instagram で読んでいますー!会いたかったですー!」って、言われるとすごく嬉しくて、見てくれている人がいるんだなー、読んでくださる方がいるんだなー、そして楽しみにしてくれる人がたくさんいるんだなーって。感情的な投稿はストーリーズだけにしています(笑)。私生活のことも赤裸々に書いているんで、お客様がお子さん連れだと子供の話題で店内が盛り上がることもあります。SNS がない時代は日記帳
にひたすら小さい文字で書いていました。書くことで頭の中でグルグルしていることが整理されるんですよね。
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家族の寝顔が一日のはじまり
BS | Instagram を読んでいて、気になったんですが橋本さんはどんな一日を過ごしているのでしょうか。 |
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橋本 |
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想像もしなかった出来事
BS | Instagram の投稿で仲卸さんのお話をされていることがありました。パンデミックによって変わったことはありますか。 |
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橋本 |
コロナという感染病。日本でも緊急事態宣言がいつ発令されるのかわからない2020年3月。世界中のロックダウンした都市の状況を耳にすることで、世の中がどうなっていくのかが想像もつかないことが続きました。経営者として従業員をどう守らなくてはいけないのか。すごい不安だった時に、不要不急のモノではない花。春は花業界の繁忙期、市場にお花が溢れ返っており、SNS では行き場のない花が捨てられてしまう画像が多々あがり、困っている花農家さんの声も。市場では可哀相な値段でたたき売られている花が並んでいましたし、そもそもお花屋さんが歩いていなくて。駐車場もガラガラでいつもは活気のある仲卸通りが暗い光景でした。休業していくお花屋も多く、私が手に抱えられるぐらいは何かできないかと思い「花のチカラ」という配送をスタートしました。ブーケを束ねて「このお花達を受け取ってもらえませんか?」と発信をしたところ、すごい沢山の人たちから届けてくださいってメッセージをいただいたんです。お家にいて外に出られず、お花が届くとすごい嬉しいですと喜んでもらえました。今だからこそ、こんな時だからこそ、花が必要なんだと花の力を確信しました。4月からはじめた「花のチカラ」は、ありがたいことにたくさんの反響をいただき第6弾くらいまでしました。配送メインで届けて
いたお花でしたが、近所にお住まいの方より「受け取りに伺ってもいいですか?」と連絡をいただき、それがきっかけで週1回花屋だけをオープンすることに。するとサンドウィッチはないの?っとなり、オープンデーでもサンドウィッチを TAKE-OUT で販売するようにしました。するとご近所の方より楽しみにできることがこんなに嬉しいと気づきました。と、声やお手紙をもらいました。私たちがやっていたことは間違っていなかったと思える瞬間でした。2020年3月から4月って働くことってなんだとう。自分の存在価値ってなんだろうって考
えました。「花のチカラ」を企画してお客様や、みなさんに幸せを届けられたという気持ちももちろんとっても嬉しかったのですが、花屋の仕事はみなさんにとって必要な存在だったんだと肯定してもらえたことが本当にありがたかったです。
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いま、想うこと
BS | コロナ前を比べ暮らしが変わったことが多々ありますが、橋本さんはいかがでしょうか。 |
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橋本 | 緊急事態宣言で自粛が続き、遠くに行くことを控えるようになった世の中。暮らしている地域で過ごす方が増えたことで、お店に来られる人もご近所にお住まいの方が増えました。遠くに行けない分、お家の中を整えたりと。またリモートワークしているお客様がサンドウィッチを買いに来てくれるんですが、お店にきて泣いちゃうこともあるんですよね。「今週はじめて人と喋りました」と。一人暮らししていると、リモートワークで働く人たちって画面越しに話をすることが当然となっていて、リアルで話せないことが心を弱くしている。淋しい、辛いって耳にします。東中野でお店をしていて、本当に常連さんの多い街だって改めて思います。また東中野って地域のおばあちゃん達のお話では風の抜けるいい街なのよって教えてくれたんです。氷川神社のあたりはお屋敷街でとっても落ち着いたいい街なんですよね。下町の雰囲気を残す場所もあって、ディープなお店もあったりで。コロナ禍、今も大変であるけども、大事なモノを見つめなおすきかっけを持つことができたんだなと思います。 On Flowers は東中野地域のみなさんの場所であり、私たちの場所でもあると考えています。以前までは私の花、私の気持ちというのを全面に出してしまっていたのですがリニューアルオープンして、空間が3倍に広くなりやることも増えて、またお客様も増えて一人ではできないことが山のようにあって。今はチームでやっていくことを覚えて On Flowers っていうのは、場所でありチームであると感じています。私たちが楽しく営業していることで、ここに来られるお客様が愉しいと思えることが私の幸せであります。 |
BS | 耳を傾けたくなる橋本さんが手がける数々の花とメッセージ。ブルースタジオは、これまでもこれからも On Flowers を応援します! |
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2021年8月4日 東京都中野区東中野『 On Flowers 』にて
インタビュアー・撮影:平尾 美奈 (blue studio) 写真提供:On Flowers
橋本藍
Ai Hashimoto
1984年東京都出身。3人の子を持つ母。
幼少の頃より常に花に囲まれた生活を過ごし、
歌人であったご祖母の影響もありダイナミックでかつエレガントな花束やアレンジメント
を創りだす。
また店内の植物や雑貨ひとつひとつを我が子のように愛を込めて演出・販売するデザイナー。
http://onflowers.jp/higashi-nakano/
https://www.instagram.com/onflowers1/
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