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INTERVIEW No.32


街を面白く!
人を面白く!
NPO 『v.i.v.a.』

岡田真紀 / Masaki Okada

石川県の金沢でNPO、カフェ、ギャラリー・・・等、多方面にわたって活動を展開している岡田氏。氏に金沢の魅力、今後の活動についてお話を伺った。

ブルースタジオ(以下BS) 岡田真紀(以下MO)

「金沢は面白くなるのに、まだ面白くない。」

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「v.i.v.a.」活動拠点になっている「social」、様々なイベントに使われる。

BS 岡田さんは金沢で活動されてますけど、なぜ金沢だったんですか?
MO 帰国後2年くらいは東京にいて、友人の仕事を手伝ってたんですね。でもいざ自分で何か始めるぞって時に金沢を選んだんです。 東京って情報量が多すぎるじゃないですか。だから何しても結局は消費されちゃう。腰を据えてじっくり何かを生み出そうとするときに東京では無理だなと。金沢だとそれが可能なんです。マイペースで周りの環境に惑わされずにじっくり自分のやりたいことだけをできるというか、地方の良さみたいな。
BS 金沢の魅力ですね。
MO 金沢には日本らしさ、元来日本が持っていた美しさが残っているので日本人としてアイデンティティを見直す意味でも魅力的だった。でも「金沢は面白くなるのに、まだ面白くない」ってずっと思ってたんですね。
BS 面白くなるのに、まだ面白くない・・・
MO 地場が持っている素地として金沢は非常に面白いんですよ。歴史だとか伝統工芸だ とか特有なモノがあるじゃないですか。これは一つの魅力だと思うんです。でも、保存しようっていう考えだけになるとつまらなくなっていきますよね。人も保 守的に、消極的になっていくし。それを変えていきたいと強く思っていました。ただし伝統って今すぐ作れないじゃないですか。だからそれとどう共存して行く かですね。僕はそれは伝統と現代をぶつけることで差異を生み出すことじゃないかと思っています。金沢は伝統があるから差異を生み出せる。 それで『サロン粋』で街に差異を刺激を生み出していけたらなって活動を始めたんです。
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BS 『サロン粋』はどんなカフェだったんですか?
MO そうですね。「日本美の再発見」をコンセプトに金沢のもてなし、ふるまい等を通し、日本にある美しいものや事を探求していました。イベントなども企画して、お客さんと楽しみながら活動してましたね。面白いことをやっていると面白い人、積極的な人が集まってくるんですよね。

結局大事なのは人!

BS 場所選びにはねらいがあったんですか?
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「social」が入っている「RENNビル」
MO 僕はやっぱり中心部でやりたいと思っていて、海外での生活も含め経験的に感じるのは、前衛的なものや文化的なものはやはり面白い人が集まる街の中で生成されている。
BS 中でもいわゆる繁華街と言われるところから一歩はずれた場所を選ぶのにはなにか狙いがあるのですか?
MO やはりマイペースでやりたいからですね。金沢は小さいと言えども、真ん中にいると、効果を生み出すスピードは速いですけ ど、あまり持続して行かない、一過性になりがち。それよりはマイペースでじっくりやりたい。だからワンブロックずらして・・・結果メインの繁華街に対して サブカルチャー的な存在をつくれたかな。でもそれは狙ってやった訳ではなくて無意識的かもしれない。実際そこまで狙ってロケーション選びはしていないで す。
BS 『サロン粋』の活動をいまどう評価していますか
MO うーん。今思うと、面白い人に出会いたくてやっていたんじゃないかなと思いますね。そう!街を楽しくするとか、面白いモノを作るとか言っても結局大事なのは人じゃないですか!僕自身も面白いモノを見たときには、それを作った人はどんな人なんだろうって、人の方にまず興味が行く。僕が大事にしているのは人との出会い、つながりですね。そうみると、『サロン粋』の活動は成功だったんじゃないかな。現に今活動している『NPO v.i.v.a.』の構成メンバーはすべて『サロン粋』のお客さんなんですよ。
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「social」エントランス古いビルの地下には楽しげな空間が・・・
BS なるほど!『NPO v.i.v.a.』は『サロン粋』から生まれたんですね!
MO そうですね。『サロン粋』でやってて、個人の活動に限界を感じたんですね。それっていうのは街を面白くするためには時間 もかかるし、組織力っていうか、色んな人のかかわり合いも必要ですし、お金もかかるし(笑)、そういったときに個人でやるには限界があるなと・・・・そん なときにたまたま回りに良い仲間がいて、じゃあ何か組織立ててやろうよっていって始まったのが『v.i.v.a.』ですね。みんな今の金沢に不満があっ て、楽しくしたい、良くしたい、って考えている人だったんです。いつも酒飲みながら金沢の良いとこ悪いとこを話し合って、結局「金沢おもしくねーな」っ て・・・それでごちゃごちゃ口で言ってるだけじゃ悪口言ってるのと一緒だから実際に活動しちゃおう!やっちゃおう!ってことになって。
BS なるほど!その想いが今『NPO v.i.v.a.』の活動になっているわけですね。
MO そうですね。

街のために・・・

BS 具体的にはどのような活動をされてるんですか?
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「social」横の「puddle」おいしいお酒と楽しい会話が!
MO 夏祭りだったり、音楽イベントだったり、空きビルのリノベーションだったりいろいろしてますね。自分でも何してる人な の?って聞かれても説明するのに困ってます。基本的にはプランナーだと思っています。企画できるモノで街のためになるモノならば何でも挑戦します。夏祭 りってこれまでもありましたけど、だいたいつまらないじゃないですか。そういうモノはどんどん変えていきますね。
BS な、る、ほ、ど・・・確かにいろいろしてますね。幅広く活動出来るのは『NPO v.i.v.a.』の構成メンバーが皆、異業種というか・・・その辺にも理由があるんですか。
MO そうですね。いろいろな人がいるといろいろなアイデアが出てくるし、なにより、その普段ぶつかることの無いモノ同士がぶつかると新しいモノが生まれますからね。
BS 空きビルのリノベーション、コンバージョンは金沢でもこれから多くなって行くんじゃ無いですか。南町の証券会社などが入っていたビルが一気に空きビルになっていますよね。都心の空洞化も深刻化してますし、期待は高まっているでしょうね。
MO そうですね。これからそちらの方でも活動をしていきたいと考えています。
BS 企画はどういうきっかけで始まるんですか?
MO こんなことしたら金沢面白くなるんじゃない?ってことを思いついたら、企画書作って、スポンサー見つけてってこともありますし、逆にスポンサーがわから話を頂いて、共感したときには企画しますね。
BS 断ることはあるんですか?
MO こういう活動をしてると、いろいろな方から声をかけてもらうんですけど、スポンサーが自らの利益だけを目的にしている場合にははっきり断っています。そんなことには全く興味がない。街のためにならなきゃ意味無いですから。
BS 大事なことですね。

金沢の魅力を引き上げて観光も盛り上げたい

BS これから岡田さんはどう活動していくんですか?
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「「サロン粋」から新たに「KiKU」に変わった。
MO 僕の中で『サロン粋』でやってきたこと、これからやりたいこと『v.i.v.a.』でやりたいことを整理してみると、『サロン粋』は個人的な創作活動。『v.i.v.a.』は街のための活動。と考えています。
BS 創作活動と言いますと?
MO 『サロン粋』は今年から『KiKU』というお店に変えて内容も物販に変わったんですね。具体的には地元の伝統技術を使って新しいものを生み出した い。おみやげって表現は好きじゃないんですが、新たな金沢のおみやげになるようなプロダクトを作っていきたいです。今は輪島塗のプロダクトを作成中です。 『v.i.v.a.』は中心部の活性を目標に活動してますけど、さらには県外から人を呼べるようにしたいですね。金沢の魅力を引き上げて、観光も盛り上げていきたい。21世紀美術館も出来ましたし・・・あれは行政主体の街の活性剤ですけど。『v.i.v.a.』は民間の立場からそれを利用して、面白いことを企てていきたいですね。
BS 『v.i.v.a.』活動拠点の『social』はどのように使っていくんですか?
MO ここにも色々な人に集まってもらいたいですね。ここはカフェであり、バーであり、ライブスペースであり、ギャラリーであり、いろいろなことをやっていくつもりなので、いつも新たな刺激のある空間として街に開放していきたいです。
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ショールーム・アトリエ・ギャラリーとなっている。
BS ここでも面白い人を集める訳ですね。
MO 面白い人に出会いたい。人に興味がある。面白い人に集まってもらうために『SUI』も『social』も『v.i.v.a.』もある。
BS そういう考えは『social』という名前にも表現されているように思いますが。
MO そうですね。いろいろなモノが混在して交差してくれたらいいなと思っています。その中から新しいモノが生まれますから。

岡田氏はカフェ、NPO等さまざまな活動をしているが、その中で「人との出会い」を大切するという一貫したポリシーを持っている。だから、周りに面白い人が集まるのだと思う。そういう人柄を十分に感じることの出来るインタビューでした。

2004年10月9日 『NPO v.i.v.a.』活動拠点『social』にてインタビュアー:堀田幸作(blue studio)
撮影:金子千秋

岡田真紀

Masaki Okada

1971年石川県金沢市生まれ。
高校卒業後、ロンドンへ留学。
そこで「blue note cafe´」に出会い、
日本には無いカフェのあり方、役割、人の集め方、ゆたかな時間・場の作り方などの刺激を受ける。
帰国後、1999年石川県金沢にて『サロン粋』を始める。
2003年『NPO v.i.v.a.』を設立。
「アサヒアートフェスティバル2003」、「"KATI(価値)cafe"~biter & sweet」
「パークカフェプロジェクト」、「v.i.v.a.. love 金沢21世紀美術館」
「オリジナル漆プロダクト企画開発」、「空きビルリノベーション」
「金沢百万石まつり特別協賛行事 セントラルミュージックナイト」
「v.i.v.a.サロン」等の企画開発に携わる。





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