きっかけは、賃貸物件では貴重な“無垢のフローリング”
ローカル線の始発から1駅目の駅を降りて徒歩6分。石積みの生け垣の家が並ぶシックな住宅街の中に、2棟のテラスハウスがゆったりと並んでいる。
鵜飼さん一家はここに引っ越して3ヶ月。ご主人の転勤で、3年あまり暮らした金沢から出身地の関西に戻ることになり、すぐに入居できる賃貸住宅を探したという。
「引っ越しの時期は決まっていたので、時間がない中で必死に探しました。納得できる家が見つからず、最初は当初の勤務先に近い京都、次に出身地の枚方あたりまで広げ、最後はエリアを問わず、とにかくたくさん物件をチェックして、たまたまこの家を見つけました」とご主人は振り返る。
彼らを入居に導いたのは、賃貸物件では貴重な“無垢のフローリング”。
デザイン関係の雑誌や本をずらりとコレクションするご主人。手仕事が好きで、賃貸のマンションでは主流のツルツルとしたフローリングに抵抗があった奥さま。インターネット上の物件写真からフローリングの質感をチェックするのにも疲れた頃に、偶然発見したのがここだった。
ミノハテラスの床には岡山県西粟倉村産の杉の無垢材が使われている。感触のよさは折り紙つきだ。そのためか、ここに越してからの鵜飼さんは一家全員が、ふだんから裸足で過ごしている。日差しが差し込んだ床が気持ちよく、床に寝転んで昼寝をしてしまうこともある。
床はオイルステンで塗装され、ややくすんだ印象に仕上げられている。鵜飼さんが元々集めていた中古家具も、しっくりとなじむ。キッチンに向かい合わせで置かれたカウンターは、まるで造り付けの家具のように見えるが、引っ越してから無垢のフローリングの質感に合わせて見つけたものだ。
上段:ご主人が趣味で集めるデザイン関係の雑誌や本。
中段:内装に合わせて設えたキッチンカウンター。収納力も補う。
下段:柔らかい杉の無垢フローリング。普段から家族みんな裸足で過ごしているそう。