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INSIDE Vol.26


ぬくもりを素肌で感じる
鎌倉暮らし

Vol.26

神奈川県鎌倉市『テラスコナサーフ』 リノベーション 住居 カップル
専有面積: 35.00㎡
職種: グラフィックデザイナー
趣味: 鎌倉めぐり

「素敵なところに住みたい」そんな願いで出会った物件

神奈川県鎌倉市。通称“江の電”の「和田塚」駅から徒歩2分の場所に、賃貸共同住宅『テラスコナサーフ』はある。ブルースタジオがリノベーションを手がける木造賃貸アパートの1つだが、他の事例にはないゆとりある“フロントヤード”が大きな魅力。東屋のあるフロントヤードのデッキは、アパートの裏手に暮らす大家さん家族と住人たちが集う場所であり、オープニングイベントではハワイアンミュージックの演奏や出張ピザ店等が開かれた。由比ケ浜の海まで歩いて7分という場所のため、素足のままが気持ちいい素焼きの陶板や無垢の木などの床材が、外構にも室内にもふんだんに使われている。

『テラスコナサーフ』の1室に入居しているのは、グラフィックデザイナーの中野健太さんと奥さま。以前住んでいたのは、東京・初台の賃貸住宅。その部屋が手狭になり引っ越しを考えるようになった。もう少し広い部屋に住みたいが、勤務先に近い渋谷区で探せば、家賃は13〜15万円と予算より高め。ふたりの実家がある埼玉や東京・葛飾区では家賃を安く抑えられるが、「素敵なところに住みたい!」という想いが強い。そう考えていたところへ、この物件が現れた。

ブルースタジオのWEBサイトで『テラスコナサーフ』を見つけた奥さまは、見に行ってみたい!と思ったが、当初、中野さんはあまり乗り気ではなかった。そこで、奥さまは、「海に行かない? まだ今年は行ってないし、物件を見てからそのあと海の家で飲もうよ」と夫を誘い出したそうだ。半ばいやいやついて来たはずの中野さんだったが、物件を見たとたん、むしろ乗り気に。帰りがけの海の家では、ふたりで暮らしのイメージをムクムクと膨らませ、大いに盛り上がったそうだ。

「あの家に住もう!!」。家路につく頃、ふたりの心はぴったりと重なっていた。

通勤時間で、オン・オフを切り替える

『テラスコナサーフ』に住むことを決めた中野さんが唯一懸念していたのは、勤務先の渋谷までの通勤時間。

「通勤は毎日のことなので始めは躊躇しましたが、仲介担当の菅生さんが、実際に鎌倉からブルースタジオのある東中野まで通っているという話を聞いて、それなら自分もいける!と思いました。鎌倉生活実践者の生の声が聞けたのは、心強かったです」と中野さん。

ここに住んでから、以前より1時間早く寝て、1時間早く起きる生活がスタートした。以前の住まいは、職場まで自転車で10分。つい休日出勤をしてしまったりして生活にメリハリをつけにくかったが、鎌倉に住んで、休日はしっかり家で寛ぐという生活ができるようになった。

通勤には1時間ほどかかるが、その間はじっくり読書をして過ごしている。自転車通勤の頃は気付かなかったが、まとまった電車通勤の時間は、ひとりの時間を手に入れる得難いチャンス。会社でも、家でもない、自分だけの時間。通勤時間の長さは、マイナスよりむしろプラスの面の方が大きかったそうだ。

素肌で触れる家

部屋の広さは35平米。以前住んでいた部屋より5平米だけ広くなったが、体感としては2倍になったような感じがするとか。

キッチンサイドの窓際には中野さんお手製のデスクスペースがある。

「自分だけのスペースが欲しくて、それが引っ越す際の条件でした」

デスクで作業をしているご主人とキッチンで料理をする奥さま。ふたりがおしゃべりしている姿は、ちょうどよい距離感に見える。

ふたりが口を揃えて言うのが、「床の肌触りが好き!」。テラコッタや無垢の木など、肌触りが気持ちいい床材が使われている『テラスコナサーフ』。その質感を味わうため、秋冬になってもカーペットを敷かずに素足で過ごしたいと話していた。

大家さん、という鎌倉暮らしの頼もしいガイド

鎌倉に移住する以前は、新宿で買い物をしたりして週末を過ごすことが多かったそう。それが、『テラスコナサーフ』に引っ越してからは、時間の使い方が様変わり。家の周辺をのんびり散歩をしたり、隣に住んでいる大家さん家族から鎌倉のお薦めのお店を教えてもらって、大好きなパン屋めぐりをしたり、市場へ鎌倉野菜や捕れたてのシラスを買いに行ったり……。「引っ越したときに大家さんからもらった、鎌倉の手作りマップ。これがすごく役立ってます!」。

引っ越したばかりの新しい街では、どこで買い物をしたらよいか、どこの病院やクリーニング屋がよいか分からずに困る事が多い。だが、『テラスコナサーフ』では、そのような生きた情報を大家さんが気さくに教えてくれる。中野さんも引っ越して間もない頃、大家さんに歯医者を紹介してもらって助かったことがあったとか。「大家さんのお嫁さんのマユさんは、私にとっては主婦の先輩。料理上手でもてなし上手。親切に色々と教えてくれます。初めての土地だけど、隣にそんな人がいてくれてとても心強いです」と奥さま。

入居者全員の引っ越しが完了した『テラスコナサーフ』では先日、大家さん家族の呼びかけにより、住人の皆さんの顔合わせが行われた。フロントヤードの中央のテラスに集まり、マユさんが焼いた美味しいケーキを頬ばりながらみんなでおしゃべり。「あそこの角に、こんなお店があったよ!」なんて、情報交換の場にテラスはなっていた。

テラスでも、部屋の中でも、素足で歩くのがここでのお行儀。あたたかい大家さん家族に見守られながら、人のぬくもりを素肌で感じる鎌倉暮らし。それが、『テラスコナサーフ』で過ごす時間。

追記:
今回の入居者・中野健太さんは、その後独立して手書き看板屋「Rolls Sign Painting」を開設。鎌倉を拠点に、手書き看板の制作やポスター、ロゴデザイン、CDジャケット、本の装丁、各種広告デザインなど、幅広く制作されています。

Rolls Sign Painting
http://rollssignpainting.com/

2013年11月10日 『テラスコナサーフ』にて
撮影:谷田恭平  取材・記事:菅生明子・藤沢百合(すべて、blue studio)

今回の入居物件のご紹介

神奈川県鎌倉市『テラスコナサーフ』
専有面積:35平米
竣工年:1984年
リノベーション完了:2013年9月





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