物件の決め手は、商店街の雑踏感
東京都杉並区「阿佐ヶ谷」は、JR中央線沿線のカウンターカルチャーの拠点としても知られる街。駅を縦断する中杉通りのケヤキ並木は、夏には涼しい木陰を、秋には黄金色のトンネルをつくる。中杉通りと並行する商店街、阿佐ヶ谷パールセンターは今も活気が健在。約700mに240余りの商店が並び、毎年8月に行われる七夕祭りは地域の夏の風物詩となっている。
阿佐ヶ谷パールセンターのちょうど中間あたりにある路面にスーパーが入った築40年の5階建ての建物。それが、今回紹介する『Colonia Galleria』(コロニアガレリア)だ。クリエイターのための5つのラボ(専有部)と入居者に24時間開放される1つのギャラリー(共用部)とで構成されている。
このラボの1つに入居しているのが、インテリアファブリックや生活雑貨の製造販売を行う株式会社ノーム。福岡に本社を構える同社の東京オフィスとしてここを借りている。
「東京の物件を探していた時に、『リノベーション』というキーワードでブルースタジオのWebサイトを見つけて、ここで決めようと思ったんです。福岡から東京に出てきて何十件も物件を見る時間がなかったということもありますが、不動産は出会いだと思うので、直感で」。そう話すのは、ノームの東京オフィスを取り仕切る市川さん。ブルースタジオのWebサイトの中から、北参道、白金、阿佐ヶ谷とエリアを絞らずに3物件を内見し、最終的に阿佐ヶ谷の『Colonia Galleria』に決めた。
「物件の決め手は、この商店街の雑踏感。僕らはオフィスにいる時間が長いのですが、一歩外に出れば、すぐそこに人の生活がある。商店街に入った瞬間に、フッとリセットできるんです。私たちのオフィスを訪れる人にもこのコントラストを演出できるなと思いました」
“仕事なれど生活”と話す市川さん。阿佐ヶ谷の商店街で働くということは、その2つが同居しているような感覚だ。仕事と生活を行き来することで、緊張感とリラックスの程よいバランスで働くことができる。