ふらっと立ち寄ってもらえるオフィス
JR山手線「原宿」駅から歩いて10分。千駄ヶ谷駅とのちょうど中間のあたりに建つビルが『PORTO』だ。閑静な住宅街の中にあるが、1本隣の道に出れば10代、20代の若者が行き交うにぎやかな通りが駅まで続く。
この『PORTO』301号室に事務所を構えるのは、アートディレクターの鈴木雅人さん。2009年12月17日、ファンが待ち望むなか発売された「ファイナルファンタジーXIII」。駅内の巨大な交通広告は人々の記憶にまだ新しい。このようなプロモーションに関わる広告やパッケージデザインなどのトータルデザインを手がけているのが鈴木さんだ。2007年にSony Musicから独立し、最初に借りたオフィスが『PORTO』の401号室(現在の部屋の真上)だった。
「以前の部屋は今の部屋の半分の広さなのですが、独立した時は自分が集中できる作業スペースだけあればいいと考えていたんです。でも、段々と人をおもてなしできる空間も欲しいと思うようになって今の部屋に移りました。ここには人が集まって来てくれるんですよ。元々、仕事のためだけでなく、原宿に洋服を買いに来たりお茶をしに来たり、何かのついでにふらっと立ち寄ってくれるようなオフィスにしたいと思っていました」
現在、鈴木さんが中心に手がけるのは、ゲームやアニメ、玩具や映画などのエンターテインメントコンテンツのアートディレクション。
「文字デザインとメインビジュアルを考えたり、イラストや写真をどのようにレイアウトすれば美しく見えて、人をドキドキさせられるかを考えたりするのが好きですね。僕が多く手がけているタイトルは大人がターゲットでもあるので、音楽や映画、ファッション性も意識しています。マニアックな世界にならないように、より多くの人へ分かりやすくインパクトを伝えられたらなと思っています」
若者を中心に多様な人が集まる街、原宿。その街に建つビルの1室から数々のアイディアや作品が生まれている。