異なるテイストをミックスしたインテリア
『ラティス青山』は、築38年のオフィスビルを一棟まるごとリノベーションし、44戸のSOHOと店舗にコンバージョン(用途変更)した建物。ブルースタジオが企画、設計を担当し、2004年に完成した。コンセプトは「クリエイターズヴィレッジ」。上層のSOHO部分のデザインのみならず、1階と地下スペースを含む建物全体のテナントミックスにより、入居クリエイターにとどまらず、地域の人々の利便性やコミュニケーションも誘発する複合ビルとしての役割を担っている。
『ラティス青山』の203号室に入居しているのは、ホテルやスパなど商業施設のインテリアデザインを手がける株式会社エールテック(Sept Jasmin)の佐々木弘美さん。2008年の10月からこの場所にオフィスを構えている。現在入居する203号室は、実はラティス青山で2部屋目。1ヵ月前、建物内で引っ越しをし、初めの部屋より広い部屋に移動した。
「8年前に父から引き継いで始めた仕事で、長い間、組織事務所に所属していました。それが、『私に』とお仕事をいただくようになり、乃木坂に小さなワンルームを借りて独立したんです。ですが、たった1年の間で人も物も増えてしまって。別の場所に移らなければと考えていた時に、ちょうど『ラティス青山』に空きがあることを知りました」
デザイナーという職業柄、スケッチを描いたり素材を並べて検討したりと物を広げて作業することが多い。そのため、ラティス青山でも平面でスペースを多く確保できるワンフロアタイプの部屋を選んだ。
「このアンティークのドアは、乃木坂にいたときから持っていたものです。この棚も、ラティス青山に入居するときに同じお店で買ったアンティーク。こういう古い物と女性らしいエレガントな物が好きで、このオフィスもそんな雰囲気にしたいと思いました」
そう話す佐々木さんのオフィスには、アンティークの家具やキャンドル、鏡など、繊細でうつくしい物がセレクトされている。一方で、元の空間の“ざっくり”した感じも気に入っているそうだ。躯体や配管がむき出しの天井や黒い塩化ビニールを敷き詰めた床。佐々木さんが好きな女性らしいテイストと空間のもつ男性らしさが程よくミックスされている。