良い環境に身を置くことが大切
2008年4月、ブルースタジオの設計による大規模なリノベーションにより新しい船出をスタートした第2スカイビル 。「vol.05 調和する論理と感性」に続いて、このビルの入居者を紹介する。
最上階にオフィスを構えるウタゴエ株式会社は、2001年に園田智也さんが大学の博士後期課程に進学した年に設立した、映像配信技術によるコミュニケーションサービスを提供するIT企業。
ウタゴエ社が最初にオフィスを構えたのは、原宿の一等地。現キャットストリートの間近にあるガラス張りのお洒落な長屋に、アパレル、飲食、建築・・・など、異業種の企業が集まりシェアしていた。
「当時、その地域はまだ住宅街。ちょうど裏原宿の文化が形成されていった時期でした。“人々の生活に密着した新しい技術や価値を創造し提案する”とい弊社の企業理念があるのですが、人の流れや熱を直に感じることができる素晴らしい環境に机を置くことができましたね。」
園田さんが見せてくれた雑誌「eciffo」の古い切り抜き。そのページには「倉庫オフィス」というタイトルで、巨大な倉庫の内側に建築内建築によって新たにオフィスを創造した斬新なデザインが掲載されていた。この記事から受けたオフィス感を、園田さんは現在も抱き続けているという。
既存の考えにとらわれず、新しい発想を生み出していくことは、最先端の技術を開発するエンジニア達の日常作業ともいえる。“いいモノを創るには、いい環境に身を置くことが大切”。 そう考える園田さんは、これまでのオフィスでも、機能性に増してデザイン性に重きを置いてきた。
このオフィスに移って 2ヶ月。モノができるスピードは格段に上がり、抜群のアクセスの良さのおかげで営業先も増えたそうだ。世界でも類の少ない高度な技術を抱えながらのオフィス移転歴。タイミングや時期を逃さずに実行に移すフットワークは、世の中の動きや自社に対する優れた洞察力があってこそのものだろう。
写真左下:ウタゴエ社の技術はすべて、この50平米強のオフィスで管理されている。