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case:活用 × ストックリノベーション 子・街・未来につながる活用のカタチ 千葉県市川市・みらい荘

家という資産の扱い方も、これからの家族と住まいのカタチを考える際に考慮したいこと。かつて家族で住んでいた一戸建てをシェアハウスにリノベーションした「みらい荘」は、目下の運用だけでなく、資産を子につなぐことや街との関わりまで考えた、ストック活用の好例です。


みらい荘

オーナー:60代(会社員)|所在地:千葉県市川市|築年数:築39年(リノベーション時)
規模:2階建て|構造:木造|部屋数:4(専有面積:9.93㎡~12.42㎡)|リノベーション完了年:2016年


Q1 「売却」せずに「賃貸」として所有し続けることを選んだのはなぜですか?

バブル期に買った家なので、当時の購入価格と比べたら、売ったとしても得になりません。売却して一時的に現金を得るより、賃貸して毎月一定の収入を得るほうが、今後の生活設計がしやすいと考えました。また、当時は節税まで考えていなかったのですが、中古で建物評価額が低いので、建物だけ子どもに売却して家賃収入を得てもらい、自分には月々地代を支払ってもらうという方法も検討しています。

Q2 シェアハウスとして運用することにしたのはなぜですか?

それまでもファミリー向けの賃貸戸建てとして運用していたのですが、地域的に売買物件と競合するので、入居者の獲得が難しくなる懸念があったことと、将来的に私の子どもが住居として使う可能性も考え、転用しやすいシェアハウスという形を選びました。ただのアパートとするのは、入居者の属性が管理しにくく、近隣の住民への影響が懸念されたので避けました。

Q3 新築するのではなく、既存戸建てをリノベーションするという方法を選んだのはなぜですか?

リノベーションという手法はかねてから知っていました。費用の概算を取ったところ、新築は3500万円、リノベーションは2500万円で、新築が1.4倍という差でした。そこから自己資金1500万円分を差し引くと、新築はリノベーションの2倍の額をローンで借入する必要があり、年齢的にもローン負担はなるべく少なくしたかったので、経済合理性の点からもリノベーションという方法を選びました。

Q4 シェアハウスにするにあたり、リノベーションで考慮したことは何ですか?

住居として使う際にも不足のないグレードにしたことです。廊下やリビングは漆喰壁にして、キッチンや洗面などの機器にもこだわりました。また、住人同士だけでなく近隣との交流もできるようにと、道路側からも出入りができるウッドデッキを設けました。子どもの代まで使う建物でもあるので、近隣との良好な関係づくりや地域の環境維持につながっていったらうれしいですね。


POINT

空き家となった実家をどうする??問題。そこには「気持ち」と「お金」の折り合い、という悩ましい問題が付きまといます。戸建て賃貸としてもシェアハウスとしても厳しい市況の中で、そのいいとこ取りを掛け合わせることで「思いと実益」の両立に賭けたみらい荘。家族の思い出が、次世代への資産に羽化することができた幸運な事例です。(ブルースタジオ・石井健)








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