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STEP 04「いろいろなリノベーション」


Q1 マンションのリノベーションってどこまでできるの?

マンションでの間取り変更は、制約が多いと思い込んでいる人も少なくありません。ですが、既存の内装をすべて撤去してスケルトンの状態にすれば、いちから空間をつくることができます。マンションの場合、玄関ドアや窓、躯体の壁・床・天井は共用部に当たるため手が加えられませんが、それ以外の内側なら自由につくることが可能。ここで注意したいのはマンションの管理規約。建物によっては管理規約でフローリングがNGになっていたり、ユニットバスしか認められないことも。見つけてきた物件が、実は理想のリノベーションには不向きだった!なんてことのないよう、事前に住みたい空間のイメージを不動産のプロと建築のプロと共有し、協力を得ながら物件を選ぶことが成功への鍵になるでしょう。キッチンや浴室など、水回りの位置変更も可能ですが、給排水管の引き直しによる影響や、隣住戸や上下階の住戸の生活に支障がないように配慮しましょう。

これらはすべてマンションのリノベーション。画一的なイメージのあるマンションでも、ここまで変貌します。左から、3000冊もの蔵書を収める本棚が空間を覆う「shapley」。「壁は水平垂直」という概念に捉われずに空間を構成した「SHAPES」、もともと住んでいたマンションを50代のご夫婦二人暮らし仕様のワンルームに一新したU邸。

Q2 戸建てでも自由にリノベーションできるの?

吹き抜けやロフトをつくるなど、立体的な空間づくりが可能になる戸建て。窓を増やしたり、減築して庭をつくるなど、外部との関係をコントロールできることも戸建てリノベーションの魅力です。断熱性能の強化はもちろん、耐震補強ができることもポイント。ただし戸建ては、建物の一部を解体してみないとわからないところも多く、構造の種類や状態によっては変更できる間取りに制限があります。中古戸建てでは、容積率がオーバーしているなど、違法建築で住宅ローンが適用されない物件が売りに出ていることもあるのですが、減築を含むリノベーションで住宅ローンが適用できる場合も。そんな戸建てリノベーションでは、物件探しの段階から専門家の協力を得ることが必須。物件選びやリノベーションの可能性が格段に広がるはずです。また、戸建ては自分自身で建物のメンテナンスをしていく必要があるので、その点も視野に入れてリノベーションを計画しましょう。

左から、実家を賃貸併用住宅にリノベーションした「BOTAO」。2階バルコニーを撤去する減築を施し、1階に光を取り込んだ「field」。息子さん夫婦が実家に戻り、上下階で世帯を分けた二世帯住宅にリノベーションした「NE-KODATE」。

Q3 リノベーションの費用を抑える方法は?

リノベーションの費用を抑えるさまざまな方法がありますが、ひとつは「部分リノベーション」という方法。築浅やリノベーション済み物件を買い、「LDKだけ」や「水回りだけ」をリノベーション。もともとの物件の間取りや内装が理想に近い状態なら、必ずしもフルリノベーションする必要はありません。「既存を生かす」はコストダウンの常套テクニックです。最近は、「新築をリノベーション」という方法を 選ぶ人も出てきました。古い戸建てを耐震・断熱も含めてフルリノベーションするよりも、郊外に建つ手頃な新築戸建てを部分的にリノベーションするほうが、リーズナブルに済む場合もあります。また、最初はワンルームで広々と夫婦二人暮らしを送りながら資金を貯め、家族が増えたら個室をつくるというふうに、ライフスタイルの変化に合わせて少しずつリノベーションしていくやり方も、当初の費用を抑えることができる方法です。

左から、リノベーション済みマンションを購入し、リビングのみスタイリングした「Container」。「リゾートのようなお風呂が欲しい」という要望から浴室を中心にしたリラクゼーション空間をつくった「hippo」。新築マンションの既存設備を再利用しながらリノベーションしたI邸。


ADVICE

「したい暮らし」から選ぶリノベーションのスタイル

「理想の暮らし」のイメージづくりをしておくことは、空間づくりに取り組む上でも重要になります。既存の間取りや内装に捉われず、いちから空間をつくることができるリノベーション。自由であるからこそ、必要な要素の優先順位を定めておく必要があるのです。空間づくりは物件探しの段階から始まっています。不動産のプロ、建築のプロの協力を得ながら、理想の暮らしを叶える物件を見つけましょう。マンションリノベーション費用の目安はSTEP3のA1でも述べた通り、スケルトンからフルオーダーでつくり込む場合、50㎡で600万円〜、100㎡で900万円~1500万円。部分リノベーションは、予算200万円〜300万円で取り組む人が多いです。耐震補強や断熱改修も含めた戸建てリノベーションは、100㎡以上で1500万円〜2000万円が目安。専門家のサポートを受けての物件選びは、その物件をリノベーションした場合の費用の目安が聞けるので、正しい資金計画が立てやすくなる利点もあります。

上記はブルースタジオが手がけたマンションリノベーションのコスト分布図(マンションの場合)。床面積に比例して費用は上がる傾向にありますが、求める性能やグレードによって大きく変わってくるので、早い段階で理想と予算をすり合わせておくことがポイントに。







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