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STEP 02「中古物件について知ろう」


Q1 中古物件って本当にお得なの?

新築マンションの価格を年収倍率でみると、2015年の東京都の場合は平均年収627万円の11.3倍となっており、前年の約10.6倍から拡大して、年収と価格の乖離が広がっています(※1)。一方、中古マンションは同じく2015年の東京都の場合で約8.6倍、首都圏全体では約6.7倍(※2)。都市部のマンション人気が高まる昨今、中古マンションの価格も上昇傾向にありますが、新築と比べるとやはりリーズナブル。物件が古くとも、都心で家を持つことは資産にもなります。中古物件は、資産価値の目減りが少ないことも魅力です。新築マンションは購入後すぐに資産価値が下がりますが、中古は築20年を越えた頃から価値が安定し始めます。最初から古いマンションを手に入れてリノベーションすれば、物件価値が下がりにくいため、売る際の損失を軽減できます。ライフステージに合わせて住み替えるような暮らしには、リスクの少ない選択といえるでしょう。

  • ※1データ出典:東京カンテイ「2015年 新築マンション年収倍率」
  • ※2データ出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格年別推移(15年・年間版)」と※1データを元に算出。

中古マンションの築年帯別平均価格を見ると、築20年を超えたところから価格の下がり幅が少なくなり、その後安定していることがわかります。(データ参考:[1] 中古価格:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動 産流通市場(2015年)」の㎡単価を70㎡(マンション)、100㎡(戸建)として算定。[2] 新築価格:東京カンテイ 2015年3月期調査のm2単価を70㎡(マンション)、100㎡(戸建て)として算定)

Q2 耐震や断熱など、中古物件の性能は大丈夫?

マンションの場合、耐震性能は建物の構造に関わるため、個人ベースのリノベーションでは変えることができません。マンションの建物性能を評価するひとつの目安は、1981年に改正された建築基準法で建てられている新耐震か、それ以前の旧耐震であるかどうか。とはいえ、実際の建物性能は建物の形状や構造、施工内容によって異なるので、正しい知識をプロに享受してもらった上で判断するのがベストマンションの管理組合による、建物の長期修繕計画も参考になります。耐震補強や給排水管の交換といった大規模修繕が行われているかどうかが確認でき、建物の維持管理状況を把握できます。プロの判断を求めたいのは戸建ても同様で、こちらは一部を解体するなどして構造を確認しないと状態が把握できないことも。戸建ての場合は必要があれば耐震補強を行うことが可能。断熱については、マンションの専有部分も戸建ても、断熱改修で性能を向上させることができます。

(母数"5261棟)

グラフは阪神淡路大震災時のマンションの被害調査。1980年以前に建てられた旧耐震物件で深刻な被害を受けた棟数は全体の6%という数値。旧耐震でも、形状や地盤、施工内容によっては構造が安定している物件も多数存在します。(データ出典:東京カンテイ「阪神・淡路大震災から五年 被災マンションの復興状況」世代別被災状況)

Q3 中古物件選びのポイントってありますか?

「好立地で広くてなるべく新しいもの」といった漠然とした考えでは、物件探しは難航するでしょう。まずは「理想の暮らし」をイメージし、重要なものの優先順位を整理することから始めましょう。その上で、環境・利便性・立地のステイタスなどの条件をもとに探していきます。街を限定せずに探してみるのも手。意外な発見があるかもしれません。長期居住するのか、短期居住なのかによっても、 物件の条件や価格の考え方は変わってきます。広さと間取りの条件も、家族数から単純に求める前に、設計者と仮の間取りをつくってみてもいいかもしれません。実は個室が不要だったり、広い玄関がほしかったり…と、新たな指標が見つかることも。大切なのは、「街」「周辺環境」「共用部」といった、リノベーションで“変えられないもの”を見極めること。お金・生活・物件がバランスする等身大の理想を見つけ、はっきりとした目標を持って物件探しに臨みましょう。

街、周辺環境、共用部など、物件選びの際は「変えられないもの」を重視して。広さや間取りについての希望は設計の工夫で解決できる場合もあります。


ADVICE

住まい方の可能性を広げる、中古という選択肢

新築に比べてリーズナブルな中古は、限られた予算の中で優先するものの組み合わせを考える自由をもたらします。例えば、新築マンションならば60〜70㎡で1億円以上になることも珍しくない東京・青山エリア。中古マンションに目を向けてみると、4000万円台の物件もチラホラ。リノベーションに1000万円をかけても、新築を買った場合の約半額で、好みの間取りや内装の住まいが手に入れられるのです。また、中古物件は資産価値の目減りが少なく、売却を前提とした住み替えを想定できるなど、住まいとの付き合い方も自由にします。流通数が年々増加している中古物件は、さまざまな物件が広範囲に点在し、その選択肢の多さが何よりの魅力。東京には930の駅があります。東京・埼玉・神奈川を合わせると、その数は2034にものぼり、街ごとにカラーがあります。「街」も暮らしの一部。中古リノベーションには、「理想の暮らし」に合わせて街を選ぶ楽しみもあるのです。

こちらは首都圏の新築マンションと中古マンションについて、平均価格と平均面積を示したグラフ。新築は年々価格が上昇していますが、面積は縮小。一方、中古の価格は微増。新築との価格差が拡大しています。(データ出典元:東京カンテイ「マンション・一戸建て住宅データ白書2015」)







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