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STEP 01「リノベーション」とは?


Q1 「リフォーム」と「リノベーション」、どう違うの?

混同されがちな「リフォーム」と「リノベーション」ですが、その意味は大きく違います。「リフォーム」とは和製英語で、もともとはサイズが合わなくなった服を手直しする意味で使われていた言葉。住宅における「リフォーム」の意味は、「新築時の状態に復元する」と考えていいでしょう。一方、「リノベーション」は再生を意味する「Re」と革新・刷新を意味する「innovation」を合わせた造語。「新築時の状態に捉われず、新たな価値を持つ空間をつくる」ことを指します。既存物件の外装や内装をただ新しくするのではなく、その物件が持つ要素と、場所・お金・間取り・インテリアなどの希望要素を上手に組み立て、オリジナルの住まいをつくり上げる、それが「リノベーション」です。住まいをステイタスや人生のゴールと考えるのではなく、自分だけの「理想の暮らし」を手に入れたいと思っている人には、リノベーションは合理的でたくさんの可能性を秘めた手法です。

既存の内装を新築の状態に“復元”するリフォームではなく、活かせる部分は活かしながら、まったく新しい暮らしの場に“刷新”するのがリノベーション。写真の事例は既存の内装をすべて取り払い、スケルトン状態からフルリノベーションした『glisse』。

Q2 中古リノベーションのメリット・デメリットは?

中古リノベーションのメリットには、「中古なら新築よりもリーズナブル」「物件の選択肢の幅が広い」「新築に比べ資産価値の目減りが少ない」「ライフスタイルの変化に対応しやすい」「自分仕様の空間がつくれる」といったことが挙げられます。気になるデメリットは、1980年以前に建てられた物件は、現行の建築基準法が施行される前の旧耐震基準で建てられていること。とはいえ建物の形状や構造、地盤の状態などによって、建物の実際の耐震性能には差があり、築年数で一律に判断することはできません。設備の古さも気になる点ですが、こちらはリノベーションでつくり変えることもできます。また、物件購入、デザイン、工事…とさまざまな段階がある中古リノベーションは、「買って終わり」の新築と比べてお金の流れが少々複雑。ただ、近年は中古リノベーションを物件探しからデザイン、施工まで一貫してサポートするワンストップサービスが一般化してきています。

中古物件に視野を向けると、住む街や物件の選択肢が格段に増え、暮らし方の可能性が大きく広がります。新築物件よりもリーズナブルな分、リノベーションに予算を充てて自分仕様の住まいを手に入れることが可能になります。

Q3 リノベーションに興味があるけれど、まず何から始めたらいいの?

住宅購入を検討するとき、「間取りは3LDK」「広さは80㎡以上」「駅から徒歩10分以内」といったことから考えてしまう人は多いのではないでしょうか。ですが、リノベーションは家を「選ぶ」のではなく「つくる」という選択肢。物件のスペックよりも、まずは自分自身が本当にしたい「理想の暮らし」をイメージすることが重要です。たとえば、「◯LDK」というシステムはよくできていますが、「食事はここで食べなさい」「ここで家族団らんしなさい」というふうに、万人の暮らしを型にはめ込もうとするもので、そこには住む人の意思はありません。人の暮らしは意外と複雑です。キッチンを家族の中心となる場と考える人もいれば、キッチンは狭くてもいいけれど10人集まれるダイニングがほしい人もいるかもしれません。「理想の暮らし」のシーンを思い浮かべて、そのために本当に必要な環境について思いを巡らせてみることが、リノベーションに取りかかる際の第一歩です。

写真は、「◯LDK」という概念に捉われない発想で家づくりに取り組んだリノベーション事例。家の中央に趣味の裁縫をするための“アトリエ小屋”をつくった『KITE』(左)と、玄関から庭まで土間が続く自転車と暮らす家『COSTA』。


ADVICE

リノベーションは“暮らしの編集

私たちの暮らしは今、“成熟期”を迎えようとしています。流行や一過性のものではなく、本当に大事な物事について考えたり、ものを大切にして長く使う暮らしに価値を見出したり、日々の暮らしに“物語”を求めるなど、新しい“クオリティ・オブ・ライフ”が求められる社会になりつつあります。そんな中、暮らしの“うつわ”である住まいにも変化が訪れています。単身で中古マンションを買ってリノベーションする人や、ライフステージに合わせて住み替えしていく人、一方で郊外に終の住処を求める人もいます。ライフスタイルの多様化を背景に、住まいの有り様はますます多様になっていくでしょう。「立地、建物の状態、間取り、デザイン、お金、売りやすさ・貸しやすさ」を自分の好きなように選択し、そのときの自分に合った暮らしをつくることができるリノベーションは、これからの時代のニーズに応える住まいの選択肢といえるのではないでしょうか。

立地、建物の状態、間取り、デザイン、お金、売りやすさ・貸しやすさ…。「理想の暮らし」に必要な要素を見極め、それらを組み合わせながら編集して、自分にぴったりの住まいをつくり上げていくこと。それがリノベーションの醍醐味です。







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