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朝から夜に向かって書く

フジモリ

山やみずうみ、畑などに囲まれ育ちました。たまたま手に取ってみたら面白かった、みたいな偶然性が好きで古本屋によくいきます


一年が終わる12月になると今年は何をしていたか、どんな日々だったかと、ふと振り返ってみたくなります。

例えばカレンダーアプリを見てみます。
予定が書かれていればいいですが、真っ白な日々が何週にも渡って続いていると我ながら心配になります。
もしくはカメラロールを遡ってみるのもいいかもしれません。
何を食べた、どこに行った、何かと写真には日々の様子が残っているものです。

しかし、カレンダーを見たり、写真を見返したりするとその時の記憶はぼんやりと思い出せるものの、
その時、自分がどう思っていたのかは、なかなかはっきりと思い出すことができません。

そんな時頭をもたげてくるのが日記をつけてみればいいのではという考えです。
日記、中学生の時に担任に提出していた生活ノートという予定表/日記を書いて以降、日記をつけたことがありません。
なんとなく日記に苦手意識があります。
何を書けばいいのか、どこから書いていいのか、続かないのでは。
日記をつける前からつけないための理由を探してしまいます。

そんな時、くどうれいんさんの日記連載を見つけました。

 「日記を書き続けるようになると、大事でないことから書き残されることが増えておもしろい。どこかへ行ったとか、何を食べたとか、他人から「きのうはどんな日だった?」と尋ねられて答えるようなことをわたしはあまり日記に書かない。覚えていられることは書かなくていい、だって覚えているのだから! それよりも、いつもより鳶が低く飛んでいたとか、ささくれが薬指の両側に出来てクワガタみたいでかっこいいとか、そういうくだらないことばかり書いている。日記を書きはじめると、生活の中で(あ、これは日記だ)と思う瞬間が来るようになる。読者の方に「くどうさんはおもしろいことがたくさんあってたくさん書けていいですね」と言われて、あれは悲しかった。たくさん書いていると、たくさんおもしろいことが見つかるだけなのに。おもしろいから書くのではない、書いているからどんどんおもしろいことが増えるのだ。」
(引用:https://nhkbook-hiraku.com/n/n834faf81aa22?magazine_key=ma38c879b5d14)

つい、何を書くか、続けるにはなど、書くための理由を探してしまっていましたが、
書くことで面白いことが増えていくという一文は、
日記に対してのハードルを下げると共に、書くことが何かとても魅力的なものに感じさせてくれます。

また友人からオススメしてもらった、日記を本にして出版している方の本も読む機会がありました。
「一方、日記はその日に起きたことや感じたことを、朝から夜に向かって順番に書いていけば、それだけで一本のテキストが出来上がる。人が読んで面白いかどうかは、まずは気にしなくていい。それより、本当に自分にとってしっくりくる表現ができているか意識する方が大事。その作業を繰り返せば、だんだんと自分にしか書けないものになからずなっていく。それば自分が書く意味があるということと同じことだ。」 (引用:「みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに」p07小沼理)

誰かに向けて書くのではなく、自分のために書く、
日記はもしかしたら、自分との往復書簡のようなものなのかもしれません。

来年は日記をつけます!と公言すると初めだけ意気込んで後は尻すぼみになってしまうのがこれまでの経験で目に見えているので、
まずはいろんな方の日記本を読んでみることから始めてみようと思います。





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