福岡オフィスのいでちゃんです。
突然ですが「石垣」をまじまじと見たことがありますか?
私は古い石垣が好きで、あちこち出かけた際に見かけるとつい立ち止まってしまいます。
昭和30年代ごろから製品化した間知ブロックではない、
現地で扱うことができた石材を用いて、
現地で組積可能な工法で積み上げられているものに魅力を感じます。
例えば私の地元では、長崎の西海岸から西彼杵にかけて手に入る結晶片岩を、
写真のように谷積みにしている石垣をよく見ます。
地元で採れる石材を地元の職人が重機を使わず積み、
安定した強度を保つことができる石垣です。
一方で長崎の旧市街では「天草石」と呼ばれる、
天草で採れた加工性の良い石材を船で運び積んだそうです。
産業や交易が発達した町ならではの石垣とも言えます。
写真引用:ナガジン!-発見!長崎の歩き方-
鹿児島県の甑島では丸石の垣根をよく見ます。
甑島の至る所で採れる丸石を高く積み、年中吹く強風から家を守っています。
甑島の中でも武家屋敷だった場所は丸石ではなく製材された石積みです。
これは「製材できる財力を持っている」ことの証明でもあり、
その地域の人の属性まで踏み込んだ背景が読み取れるものになっています。
山口県防府市の末田地区には土管でできた"土管垣"が至る所にあります。
この地区は明治期から「末田土管」として全国に流通していた土管製造のまちだったのです。
現在はコンクリート製の「ヒューム管」が製品化、流通し土管と置き換えられたことで土管産業が衰退したものの、
当時生産されていた土管は今なお末田のまちを守っています。
身近なところにあるヴァナキュラーの構造物「石垣」。
みなさんも改めてその魅力に目を向けてはいかがでしょうか。