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さ・え・ら 年末年始

おおた

東京→瀬戸内→東京へ。最近買った本は『うみべのストーブ』、最近の気付きは「時間の経過具合は、記憶と実際の長さにわりと差がある」です。


年越しうどん

蕎麦よりもうどんが好きです。
それなのになぜ、「年越しそば」なのだろう?

これまで一緒に生活してきた方々も皆さんうどん好きだったため、
家に蕎麦の常備はなく、
大晦日のタイミングでわざわざ買った蕎麦をもしゃもしゃ食べるたびに思っていました。


今年は実家を離れて初めての「自分で全部準備する年末年始」でした。
(これまでは年末年始に帰省するなど、主体的に準備するということは無かったのです。)

これからわりと長く続くであろうこのライフスタイルで初めて迎える年末年始、
一つの野望がありました。
「年越しうどん文化」を作り上げることです。


家庭ごとの文化、というものは色々あると思います。
たとえば自分の場合だと、「家庭で作る酢飯は砂糖を入れない」などがありました。

「年越しうどん ダメ」が検索サジェストで登場しても、
メディアやスーパーでは蕎麦がずらりと並んでいても、
それに屈しない心を持って続けていれば、いつか「大晦日だ、うどんを茹でないと」と自然に思えるようになるはず。
そんなことを考えながらうどんを茹で、天ぷらを揚げました。
(ちなみに香川の方では、年越しうどんや年明けうどん文化があるそうです。)

sg230110_01.jpg

さて、2023年も年越しうどんで締められるのか...!
機会があえば続報をお届けしたいと思います。


花豆煮

そしてお正月。
脱おせち、あるいはお手軽おせちのトレンドが年々強くなっているような、
そんな風潮も感じますが、おせち作り、自分は大好きです。

料理をつくりはじめた時期が実家を離れてからだったこと、
母がさほどおせち作り好き派では無かったため、あまり「引き継がれてきた味」を持っていません。
しかし将来、語れるエピソードの一つでもあったら楽しいのではないかと思い、(勝手に)引き継いでみたのが「花豆煮」です。

随分前に亡くなった父方の祖母が作っていたものです。
黒豆煮はわりと購入しやすいため、年始の挨拶で持参する際の被りを回避するためにもこちらを引き継ごうと思い立ちました。

しかし作り方がよく分からないので、プロに訊くべく築地場外市場へ。
対応してくださったお姉さまは「え!若いのに自分で作るの!?」と戻し方から味付けまで全て教えてくれました。
有難いです。

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水で戻すのに2日、煮こぼすこと3回、味を染み込ませるため弱火にかけること数十分。
数あるおせち料理のなかの一つ、というイメージですが時間も手間も(そしてすさまじい量の砂糖も)かかっていたのだなとしみじみしました。
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(それぞれ左が乾燥した豆、右上:水に戻した後→右下:3回茹でこぼした後の豆です。)
sg230110_04.jpg
(完成した花豆煮。想像の2倍くらいの量ができました。)


いまから22年前、2001年にピチカート・ファイヴの「現代人」という曲があります。
曲をきくと、やや時代を感じる箇所もあるのですが、
「昔の人ならいざ知らず/現代人なら当然ですよね
 現代人はそういうのが大好きです
 こういう時代に生まれた/あなたは幸福です」

と歌ってくれると、都合よく色々よしなにできる年末年始を迎えられて、良かったなと思います。

・・・・・

ブログを書くにあたって、花豆煮について少し調べ、話もきいてみました。
結果、祖父母の出身地である大分の特産でも郷土食でもなく。。
一時祖父が単身赴任していた長野がかろうじて関係ありそうでしたが、その真実を知る人はもういませんでした。
しかし、幼い頃から食べ続けてきた、やや甘みの薄い花豆煮の味を、
きっと年の暮れるたびに思い出して、
そしてそれよりも甘い豆をこれからも煮ることでしょう。





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