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森のこと

パン

出身はマレーシアです。日本の食べ物はみたらし団子以外何でも食べます。


新緑になって、山に行くことが増えてきました。最近行ってよかったのは奥多摩にある標高969mの棒ノ折山です。山に入る前に有間ダムまでサイクリングや、オートバイを楽しむ人が多くいました。ダムを通って、登山ルートに入ったら2人並んで歩くのが難しい狭い登山道でした。ルートの半分ぐらいに届いたら垂直の巨大石壁に囲まれる谷に入り、ジュラシックパークに入った気分でワクワクしていました。

前半のルートは渓谷に沿う道で、水、シダ、苔などが溢れていて、気持ち良かったです。今回のルートは日本で登った山の中に一番自分が慣れた熱帯森林に近いかもしれません。ただし、ルートの後半まで行くと渓谷がなくなって、普通の人工林に入って、空気が大きくわかりました。そのギャップが激しくて、それはなんでだろうと考えてしまいました。

朝寝坊したので、元々一緒にいく予定だったマレーシアの友人と山頂で待ち合わせすることになりました。一緒に降りるときに、日本の山は寂しいなあって友人が言いました。動物と虫たちはまだ冬眠中じゃないかと言いたかった途端に気づいて、いや、今はもう暑くなって、梅雨にも入ったし、でも本当に静かでした。前半の渓谷は水中環境が良くて、カエル、魚、苔、シダなどがいて生き生きしたが、後半のルートは人工林のせいで植生が荒れて生態系が崩れるのがその原因だったのがわかりました。

日本の森林面積は国土の67%で、森林資源がとても豊かな国です。ただし、その中の41%は人工林で、放置されるのが多いです。人工林が放置されると太陽光が入らななくなり生態系が崩れ、砂災害リスクが大きくなり、花粉症などの多くの問題が起きます。春のごろにまだ日本に来てそんな経ってないから、花粉症は大丈夫だ!と私が思いましたが、花粉症になってしまいました。世界では森林の過剰利用でいろんな環境問題が起こっていて、日本だけは第二次世界大戦後、植えた人工林が利用されてないことで様々な問題が起きています。

日本の森は暗い森?世界と日本、それぞれの森林問題の現在:https://yamatowa.co.jp/news/story/base/


私はボルネオという島に生まれました。下のダイアグラムはその島の森林面積の変化を表していて、飛行機を乗ったたびに実感していました。その島には大量違法伐採の問題を抱えています。
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参照:https://www.zmescience.com/ecology/borneo-orangutan-palm-oil-15022018/

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参照:https://detroitclimateaction.org/what-is-illegal-deforestation/

伐採された木材はいろんな国に輸出し、日本はその主要な輸出先の一つです。お父さんの仕事は家具屋さんだったので、ボルネオの木材を認識でき、街歩くときにもよく見かけます。伐採によって、ただ森林面積が減るだけではなく、自然の生態系が崩れ、動物たち、まだ森の中に住んでいる森林資源を頼っている原住民たちが家を失ってしまうのです。木の文化も自分のルーツも無くなってしまったのです。このような問題はボルネオだけではなく、いろんな開発途上国に起きているはずなのです。

WeMoriみたいなボルネオで森を植えている企業や、WWFのような世界自然保護組織もいますが、森を植えるより伐採の方が何百倍も早いので、一番多く木材を使っている建築業界の我々には責任が非常に大きいのではないかと思っています。ですので、設計する時にオークやチークなど海外の木材が定番になったのが正直納得できません。経済的といっても、見た目的といっても、それが持続的な循環ではありません。

Wemoriサイト:https://www.wemori.org/post/impacts-of-deforestation-in-borneo
WWFサイト:https://www.wwf.or.jp/

古い言葉ですが、その場所にある資源をその場所で使う「バネキュラー」は持続可能な建築を作るには不可欠だと思います。スタジオ伝伝の藤沢百合さんが言った通り、和の文化は和の建築から生まれました。そうしたらその前に、和の建築は和の国の森と和の信仰から生まれたと考えられます。丈夫な松が構造になったり、軽い杉、香りのいいヒノキが動きやすい家具になったり、苔やシダが庭になったりして、間が生まれ、縁側が生まれ、そこで和の文化が育てられながら森との循環が生まれました。三重県の伊勢神宮が1300年にわったて周りの人工林を利用し、20年一度造りかえるのは森との循環だけではなく、宮大工の技術伝承も守りつつ、文化の循環にもなり、永遠の循環が生まれます。逆に森林生態が崩れたら、森との循環が崩れ、森との循環が崩れたら和の文化が崩れるとも言えます。

と言ったら、もともと登山の話だけしたかったんですが、なぜかこんな長文になってしまうのが分からなくてすみません。結論を言うと、日本の森林の健全性にも、海外の伐採にも責任を持って、本当にサステイナブルな環境を作って行って欲しいのです。「バネキュラー」と言ったら、古くて伝統的なイメージがするかもしれないですが、今こその「バネキュラー」をみんなさんと一緒に考えていきたいのです。

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