自分は自転車派だ。10km程度の移動であれば、自転車で十分移動できるし、都内であれば道路混雑の影響で時間帯によっては自転車のほうが車よりも早いことはしばしばある。しかも運動にもなるし、お金もかからないし、CO2も自分の代謝分しか出してない。さまざまなメリットから私は圧倒的に自転車派なのだが、最近ついに車を買うことを検討している。
それはライフスタイルの変化によるもので、週に1回程度荷物を伴って移動する必要が出てきそうだからである。さすがに自転車移動で荷物を運ぶのは難い。 シェアカーでいいじゃん。ということも考えたが、一定の期間・一定の距離を移動することを計算すると、中古車を購入したほうが安いのと、使おうと思った時に他の人が使っていて、使えない可能性があるのでシェアカーも難しい。 上記のような理由で、車を買うことを余儀なくされたので、自分の中で車について考えておきたいと思って、今回のブログを書くことにした。
まず自分は下記のような理由で、車を嫌っている。
①高度経済成長期に計画された、車のためのまちづくりが進み、大きな道路でコミュニティが分断されたり、景観や自然が破壊されている。私の暮らす小金井市では、国分寺崖線(はけ)や武蔵野公園の環境を変えてでも道路をつくろうという計画が進んでいるし、実家のある厚木市では圏央道が開通したことにより、大規模物流拠点が、農地を切り開いて建設され、大型トラックが農地エリアを走り回る場所になってしまっている。https://koganeiroad.jimdofree.com/
②あたかも電気自動車がエコであるというようなことが喧伝されているが、発電の脱化石燃料化が進まない限り、現状の日本の発電方法では逆にCO2排出量は増大することが解明されている。電気自動車を推進することは、脱化石燃料の観点から原子力発電を推進することに繋がる。 (参照論文)https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/embed/jaresearchresearch_results2019documents200219_201.pdf
では車自体や車にまつわる環境が、どう変わってほしいか?
① 車自体を変える
~大きさよりも小ささ、速さよりも愛着~
例えばSUV。オフロードに強いからと、車メーカーがアウトドア好きに刺さるブランディングをしているが、オフロードでしか行けないキャンプ場ってそんなに無くない?と思う。ガチ勢にはオフロード向けの車が必要だろうけど、もう少しゆるキャンなユーザーは軽自動車で十分でしょう。あと、レースに出る車以外には、そんなに排気量いらなくない?と思う。速い車を買う人は日本の公道で何キロ出すつもりだろうか。そして、最近出る車はなんで厳つい見た目の車ばかりなんだろう。流線型でランプも横長。全然かわいくない。内装も酷いし、表層の違いはあれど、デザインの根底が似たり寄ったりで、住宅で言えばハウスメーカーのサイディング貼りの住宅みたいなものが蔓延っている。これでは愛着が湧かない。
②
車の数を減らす
~中古でいい~
何年に一回か車を買い替えるのが当たり前で、しかも新車という人が少し前は多かったけど、今はその価値観が変わってきているように思える。中古車を買うプラットホームが整ってきているし、いわば車をリノベーションするような会社も検索すると出てくる。建築は建築家が1つ1つ設計することは難しくないが、車を1つ1つデザインするのは難しい。そんな中、すでにある中古車をカスタムしてデザインを変更するのがもっと一般的になると、新車を競うように買う文化はなくなるのではないか。
③ 車主体のまちの作りを変える
~車・道路の必要性の見直し~
当たり前だけど渋滞の解消をするための最も効果的な方法は、道路を増やすことではないと思う。テレワークを増やすこと、都心のオフィスを移転すること。そもそも都心に働く場があって、郊外に住んで車で移動するような生活が変われば、道路なんて新しくつくる必要がない。そしてコロナでその生活が現実に可能になっているにもかかわらず、通勤を前提に計画された高度経済成長期の道路計画は見直されることなく実行に移されていく。今や銀行が電子決済に、映画館がnetflixに、出張がzoomに、移動する必然性が減っているので、車最優先のまちづくりも見直してほしい。
まとめ 別に車を使うことを我慢することを主張しているわけではなくて、今までの前提を見直したほうが豊かだよね。と言いたい。大学院のスタジオで図書館の課題をしていた時、敷地と道を挟んだ公園との連続性に悩んでいたら、恩師である小嶋さんに「道なんて無くしてしまえば良い」と言われたことを思い出した。たった一言だったが、今ある既存の環境を疑うこと。道を無くしたほうが、そこに暮らす人にとって良い場になるなら、そうすべきと言い切れる強い信念に心を打たれた。
当然車にまつわる環境を自分一人の力で何か変わるとは思っていないけれど、車を買うなら自分の考えはしっかり持っておきたいと思い、書いてみた。逆に何言ってんだこの野郎!という意見も聞いてみたい。