みなさん「寝る」ことはお好きでしょうか。
本日は私が出会ってきたクリエイティビティあふれる「寝る」を紹介したいと思います。
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ふと、今回のブログのネタを探すため、チラチラとカメラフォルダを漁っていると、
学生時代の写真の中でも、
同研究室のメンバーの寝る姿をよく撮っていたことに気づきました。
同時に、その中に普通にお布団・ベッドで寝ている背景がほとんどないことに気づき、
その写真たちから、人間のクリエイティビティ性にまで話を繋げられたらなと考えています。
「寝る場所がないが、どうしても今すぐ寝たい場合、人は近くのものを寝る場所に見立て、寝る。」
をテーマに写真を抜粋してみました。
誰しもがみたことのある風景ではないでしょうか。
椅子をベッドと見立てています。
椅子を繋いで寝る場合、落ちないように寝相をコントロールすることが大事ですね。
こちらは少し幅の広い椅子(板)をベッドとして見立てています。
座っている人と限りなく近い距離感で共存する様子が面白いです。
みづらいですが、よく断熱材として使用される「スタイロフォーム」をベッドとして見立てている様子です。
スタイロフォームは冷たい地面の上においても、熱を遮り、心なしかあったかく寝ることができます。
環境性が+され、良い寝心地となっているようですね。
ウォーリーを探せ状態ですが、こちらは机の下に寝ている人の様子。
見つけた時はホラー級に怖かったのですが、
あかりをつけている部屋でも、机下の薄暗い環境を読み取り、わずかな隙間に心地よさを見つけたようです。
もうこれは異次元だと思ったのですが、
よくよく考えてみると机は大きなベッドとして見立てることもできますね。
二段ベッドの高い場所で寝ることがワクワクするように、
「中二階ベッド」は軽やかさを感じながら寝ることもできるかもしれません。
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■ 人は追い込まれた時、「想像力」が最も豊かになる
私はこの現象がとても面白いなと思っています。(寝心地がいいかどうかは置いておいて)
というのも、上記の事例はどれも課題に追い込まれている時に起きた現象でした。
人間は追い込まれた・ないしは 過酷な状況に追いやられた時、
無意識に自らの環境を細やかに読み取り、何かを見立てる
「想像力」が最も豊かになる瞬間になり得るのではないでしょうか。
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■ あの軍艦島でも同じようなことが起きていた、、?
ちなみに皆様は長崎県の軍艦島にも
似たような現象が起きていたことをご存知でしょうか。
高度成長期、1960年代には東京以上の人口密度を有していた軍艦島では、
住居は決められた規格(びちびちの集合住宅)であり、それもゆとりはない状態でした。
当時の住居 平面図
ですが、その中でも「遊びたい」「神様が生活には必要だ」と考えた住民が
生活を豊かにするため、限られた土地を活用して、さまざまな見立てを行なっていました。
廊下で遊んだり、プールで野球をしたり、お寺を作ったり。
写真をみるだけでもワクワクしますね。
ゆとりのない生活空間にも関わらず、
当時の島民は「とても豊かだった」と軍艦島を懐かしむという文献もあるほどまでに
彼らの心を掴んで離さない理由は、
きっと今にはない不自由さや過酷さが産んだ「暮らしの豊かさ」だったのでしょう。
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■ 恵まれすぎた環境は 本当に豊か?
ゆとり世代なんて言葉もあるように、
現代ではありえないような思想なのかもしれませんし、
もちろん、劣悪な環境がいいわけでもありません。
ですが、恵まれすぎた環境は、
時に人の思考を止めてしまっているようにも感じることが少なくないような気がしています。
わざわざ環境の整っていない土地に出向き、
自ら生活環境を一時的に仮設するキャンプが
一定層に根強い人気であることは、
これを裏付けてくれているようにも思えます。
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■ 〆
以上、取り止めのない考察を続けてみましたが、いかがでしたでしょうか。
私はこのテーマが人間の暮らし方を考える上で大事な要素になるのではないのかと常日頃考えています。
皆様も一度、自分の生活にどれだけ不自由さがあるのか、探してみてください。
もしかしたらそれがあなたの生活の「豊かさ」なのかもしれません。
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あ、ちなみに私は冷房がガンガン効いた部屋で
お布団のありがたみを感じながら寝ることが大好きです。
参考・引用文献:
『軍艦島の生活<1952/1970>』、創元社、2015年