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この家の猫になりたい、の家

おみつ

おいしいお酒とおいしいごはんに夢中な設計担当。東京にて女子三人のルームシェアを満喫中。好きなものは太陽・歌・いい香り。


去年お引渡しをして、暮らしぶりを撮影しに行ったお住まいをご紹介します。
Yさんご一家は、ご夫婦とねこちゃん4匹で暮らしています。
18年前に新築でご購入されたマンション。
決められた間取りがお二人の暮らしにフィットせず、初めてお会いした時にはせき止めていた
理想と現実のギャップをあふれ出すようにお話しされたのを覚えています。
異なる生活スタイルのご主人と奥さま、そしてそれぞれ個性的なねこちゃん4匹が満足できる形を
とことん話し合って出来上がったのがこちらのお住まいです。


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全てが手の届く範囲で暮らしたいご主人のために、リビングに面した小上がりスペース。
扉を開ければパソコン、飾り棚には漫画、布団を敷けば寝室になります。

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奥さまの家事のしやすさを実現するのための工夫は
サニタリー、キッチン、バルコニーの動線。
洗濯物を洗い、干し、取り込む家事動線はもちろん、
ねこちゃんのトイレを洗って乾かすと行った作業も、床をタイルにしたおかげで水滴を気にせず行えます。

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Yさんご夫婦と設計担当の私たちの人間4人で白熱した議論を行ったのが、
4匹のねこちゃんと共生するための工夫について。
人間にとって入って欲しくないエリアも確保したい、
ナイーブなねこちゃんのストレスを溜めさせないためには?
何より、この住まいがねこちゃんたちにとっても楽しめるものにするには?

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まず、ねこちゃん専用のお部屋、ネコルームを提案しました。
ここにはトイレ、水飲みスペース、お世話グッズの収納が集約されていて、
格子の扉を閉めればいざという時のシェルターにもなります。
そして食事スペースのネコダイニング。この高さにはこだわりがあります。
人間がダイニングで食事をとるときの目線の高さとねこちゃんの目線の高さを合わせて、窓ガラス越しに一緒に食事を取れるように。
これは人間にとってだけでなく、ねこちゃんにとっても落ち着くようです。

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そしてご主人の城、小上がりの下にも猫ちゃんのための工夫が。
シャイな猫ちゃんが逃げ込める空間を作ってあげて、来客時の退避スペースとしました。

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人間が帰ってくると、玄関前までのばしたキャットウォークを歩いてお迎えに来てくれるそう。

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ここもたまらんポイント。
トイレの扉には上下に並ぶ親子窓。
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人間がトイレに入ると、猫ちゃんがついてきて、小窓をトントンとノック。
トイレの中からしか見えない、肉球がたまりません。

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寝室につながる扉。
寝室は猫ちゃんに入って欲しくないスペースなので、握り玉のドアノブに。
中に入れない猫ちゃんたちが、「ご飯くれ〜」とガラス越しに見つめてくるのが毎朝の光景。
これは思わぬたまらんポイントだったそう。


人間4人で頭を抱え、楽しみながら工夫をこらした結果、ねこちゃんたちのあまりの悠々自適っぷりに、
遊びに来た友人が「この家の猫になりたい!」とおっしゃっていたそうです。


他にも、腰壁に焼き杉を貼ったキッチンや
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神戸北野異人館の萌黄の館の色合いをイメージしたベッドルームとウォークスルークロゼット。
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おふたりの趣味である音楽漬けが叶う、サロン
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などなど、人間もねこちゃんも楽しみ尽くせるお住まいとなりました。


先日Yさんから、
「コロナ自粛中もリラックスできる空間で、幸せおうち時間を過ごせました」
と嬉しいご連絡が。
お引き渡しのあともこうやってご連絡をいただいたり、
ゆったり朗らかに暮らしているご夫婦とねこちゃんたちの姿を見せていただき、私としては何よりのご褒美をいただいた気分。
Yさんご一家がこのお住まいをますます住みこなして、家での時間を楽しんでいただけることを願うばかりです。

Photo by Yoshiyuki Chiba





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