昔の家づくりにおいては、大工さんが設計から施工まで行っていたそうです。
今は法律、構造や設備等、より家づくりが複雑になり設計職と大工職は別々となっていますが、
ものづくりの本当の醍醐味というのは、自分の考えや思いつきを1から10まで実際に形作るということなのかもしれません。
なんてことを考えはじめたのは、最近中古住宅を購入し自分たちで改修を始めたのがきっかけでした。
1Fはあまりお金をかけず、2Fをちょっと頑張ろうかということで、まずはお金をかけないと決めた2Fから着手することに。
お恥ずかしながら、引っ越してから1ヶ月以上経ってもまだダンボールの積み上がった部屋で寝ていた私たち・・。
まずは、寝室から手を入れることにしました。
寝室にするのは和室です。
(一番上の画像が元の和室の写真です。)
まずは『あるものをどう生かすか』ということと『この寝室でどのように過ごしたいか。』ということを考えました。
「柔らかい光で起きたい」「ベットを低くして、なるべく地面に近く過ごしたい」「寝る場所なので、シンプルにしたい」などなど。
お互い意見を出し合い、好き勝手言い合って、では具体的に何をどのように生かしその『したい』を叶えるのかを考えるプロセスは、
楽しいけれどそればかりではありません。
「それいいね!」「いや、それはちょっと・・。」
お互いにアイデアを出し合い、それが本当に良いものか、現実味があるのものなのか吟味します。
時に険悪になり、時に譲り合いながら進めていきました。
明るい光を取り込むために障子はそのまま活用し、張り替えました。(初めてなので、障子紙に歪みが・・。)
よりシンプルするために明るいクリーム色だった柱や長押、天井を白く塗装。(腕の筋肉痛がひどいです。あと、塗装がはみ出て喧嘩します)
畳は撤去して、下地材を張り、地面に近くても温かみのある自然素材として「サイザル 麻」を選びました。
(上田敷物さんのアウトレットで購入。麻なので、素足だと以外と痛い。足つぼ効果ありとプラス思考でいくことにしました。)
押入れの襖もより要素を無くしてシンプルにするために、窓の障子と合わせて解体し障子を貼ってみました。
(こちらも若干障子紙に歪みが・・。あと、設置した時に可動しにくくなり、調整に苦労しました。)
その結果完成した空間は完璧ではないかもしれません。ですが、自分達で考えてかたちにしたものはなんと愛着が湧くものでしょうか。
夜、寝床に入る瞬間。または朝目覚めた時に白い天井が間に入った時、ふと満足感に心が満たされます。
次なる醍醐味は改修したお部屋にどう家具を配置していくか。
気に入って買ったものの、オブジェと化していた糸車をスタンド照明代わりにしてみました。
押入れ(ハンガーパイプを設置してクローゼット化)の隣には、やはり全身鏡が必要だなぁ、ということで、
相方の実家に眠っていた、古材を頂きそれを鏡の額にすることにしました。
↑↑蔵の扉だったものを半分にカットしました。これから鏡を入れて、壁に掛る予定。
倉庫の中を見せて頂いている際に、「これをこうに使えないか?」というアイデアがどんどん湧いてきて、
現在自宅ワーク中のため、小さい机で譲り合い時には床に図面を広げて作業をしていたこともあり、
これを機に大きな机まで作ってしまいました。
↑↑洗うのも一苦労。義母も一緒に洗ってくれました。この大きさを2枚貼り合わせました。
↑↑そしてできた机です。ご飯がいつもより美味しく見えます。
↑↑倉庫に眠っていたお宝の数々。「何に使うの?!」と驚かれてしまいました。
冒頭の話に戻りますが、アイデアをかたちにする楽しさを知った今、昔の大工さんにふと思いを馳せてみました。
また、ちょっとした身の回りのものにも目を向けることが楽しくなり、新しいものの見方が増えた気がします。
注意深くみて、良いと思ったものがなぜ良いのか考えることが、実際にこういった時にアイデアに繋がるのかもしれません。
最後に、「何に使うの?!」と言われたこちらは、お隣さんから頂いた花を入れて、ベッド脇のサイドテーブルの上に
静かに鎮座することになりました。