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異物混入

さかぐち

鹿児島県出身。ラジオと映画とジャスミンに囲まれて生活中。時の流れに身をまかせ、いつの日か向田邦子になるのが夢です。


家族すら興味がないほどの、至極わたし事ですが、先日、人生初コンタクトをつけました。

通常は、近視(遠くが見えにくい)のが一般的な中、わたしは遠視(遠くは見えるが近くが見えにくい)という症状に悩まされた結果です。
「ものを見るときに、力を入れて見過ぎ」という謎の原因でしたが、生活に支障が出ていることは確か。

これではいけない、と眼科へ行き、「遠くは見えなくなりますけれども、1度コンタクトを試してみてはどうでしょうか?」と先生に勧められるがまま、コンタクトを購入、早速つけてみることに。

最初の1回目は看護師さんの指導が必要らしく。
30分が過ぎても、単独でのコンタクト着用に成功しないわたしに見兼ねた看護師さん。
「さかぐちさん、落ち着きましょうね。子どもでもできるんですからね。」
あんなに優しかったのに、どんどん気が短くなっていく。。。

それでも仕方がないですよ。
コンタクトなんて20数年生きてきて初めてつけるんですもの。

コンタクトなんて、自分には縁がないものだと思っていました。
よく考えると、コンタクトなんて、熟語にすると「異物混入」。
字面だけで身震いします。

安心していた馴染みのものたちの中に、突然、「異物」が入ると最初は波が立つもの。
何者かもわからないモノ、ヒト、コトに対して疑心暗鬼になるのはすごく当たり前ですし、自然なこと。

ですが、「自」に「他」が入ることで良い方向に向かうことも多い気がしています。

例えば、インフルエンザの予防接種。
予防接種のワクチンは、体内に微量なウイルスを注入し、身体に抗体をつくらせ、インフルエンザにかかりにくい身体にする。
これも異物混入が好転する例。

世間には、色んな分野の、色んなレベルの「混入」があります。
「混入」という言葉だけだとすごく無機質ですが、「融合」「ミックス」「調和」などなど。

ヒトやモノ、コト、いろいろな混ざり合いによって、私たちは強く、大きくなっていくのかもしれません。

さて、わたしはコンタクトという異物と上手に調和できるのかー


異物混入の日から数週間。
私はいま、せっせと眼鏡を拭いています。






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