逗子の木造平屋のリノベーションが完成しました。
以前ブログでご紹介したこの物件。
木造平屋の醍醐味
あれから3ヶ月が経ち、無事にお引き渡しを迎えました。
もともとはお施主さんのお祖母様の代に建てられた、築60年の木造2階建住宅。
家族が増え大規模な増築を行ったり、火事により平屋に減築したりしながら、
様々な出来事を経て大切に住み継がれていました。
天井や壁を解体した時、2階建てだった時の名残の床が出てきたり、
火事の時のススが着いた梁が出てきたり。
お施主さんも私たちも、つぎはぎな構造体や歴史を纏った力強い素材に
圧倒されっぱなしでした。
このスケルトンの空気感を残したいという思いから、
当初の計画を変更。
素材そのものの力を活かし、
家と家族の思い出が重なっていくようなデザインとしました。
古い柱や新しい柱、
補強金物、玄関の木サッシ。
70年間の増改築の歴史が目に見える形で記録され、
これからも更新されていくことでしょう。
空間の構成は、大開口と天井の高さを活かしたワンルームに。
造作家具を配置し、子供たちがその周りをぐるぐる走り回れるようにしました。
今回外構の工事も行いました。
もともとご近所付き合いが活発なこの地域。
あえて塀を低くオープンにし、植栽を植え
コミュニケーションを促すようなデザインにしました。
今まで全面道路で遊んでいた近所の子供たちが、
この家の庭やデッキ、室内で遊ぶようになったそうです。
8人ぐらいの子供たちが放課後に集う場所になっています。
一見なんてことのない古い住宅にも、いろんなストーリーや思い出が詰まっていて
それらを引き出し、丁寧に整理し、編集する。
リノベーションというものの原点に帰ることができた、素敵な体験になりました。
子供たちやその先の世代に、愛され続ける家になりますように。