以前から憧れていた神楽坂にある名居酒屋 "伊勢藤" にはじめて行ってきました。
神楽坂の一本路地裏にある雰囲気の良い木造の建物。
雰囲気あるお店が点在する界隈ですが、その中にあっても一層際立つ外観です。
暖簾をくぐるとピンと張りつめた空気。静かな店内はいわゆる居酒屋さんとは異なるなんとも言えない雰囲気です。
お店中ほどに囲炉裏が鎮座し、そこで店主の方がお燗をつくっています。
懐かしいとかいう次元ではなく、近代以前の別の時代にタイムスリップしたような錯覚を覚えます。一段上がったお座敷に座りなんだか武士にでもなったような気分です。
お酒はお燗か常温の「白鷹」のみ。ビールなんてものはありません。
一汁四菜が出され、それをあてに燗酒を飲み進める。ほど良い温度の燗酒は空気を吸うように、すーっと体内に入っていきます。なんだか哲学を感じます。
わいわい楽しむお酒も良いですが、たまにはこうした飲み方も良いものです。
「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり」 若山牧水
iso