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最高にハッピーな裏切り「横道世之介」

石井


こんにちは、石井です。
先日、とある友人のご好意でプレス向け試写会に。前評判がスゴい!とは聞いていたものの、正直言うと、半信半疑だった。なんせ2時間40分の和製青春映画。それって...表現者の勝手な妄想に付き合わされるのでは?との軽い恐怖を胸にしながら渋谷のShowgate試写会場へ。


ところが、である。出だしの数分こそ「ずいぶんロングショットが多いなー」「最近ハリウッド見すぎて自分のテンポが狂ってるのかな?」などと入り込めなかったのだが、知らない間に完全に取り込まれてしまった。上等なインド映画の様にコメディがロマンスへ、ロマンスがいつのまにかミステリーへ、と色々なモードを漂流。途中で「この楽しさが160分つづくなんて最高!」などど思っていたら..なんと映画がそこで終わってしまった。時間が倍速で進む面白さ、映画ならではの余韻。昔々、もっと純粋に映画をありがたく楽むことができていた時代が憶蘇った。

原作は「パレード」「悪人」などで知られる芥川賞作家の吉田修一。1987年に大学に入学した主人公の1年が描かれるのだが、物語はその16年後に当時の友人や家族に語られる思い出と交差しながら進んで行く...とだけ聞いてもあまりそそられないかもしれないが、騙されたとおもって映画館へ足へ運んでみることをぜひお薦めしたい。普通の人生の中に、どれだけ素敵な瞬間があるかということを、憶いださせてくれるはずだ。

私の場合は、主人公と私がほぼ同年であること。私も大学入学を機に東京に移り住んだ事。主人公の恋人がなぜか義妹にそっくりだったこと。など、自分のリアルと重なる事が多かったことも引きつけられた要因なのはあきらかだ。しかし、恐らくは観る人それぞれが「自分ごと」が発見できる映画なんじゃかいか?と感じた。

10年後、娘が18才になったら一緒に観てみたいという気持ちが過った。その前にお金払ってもう一度劇場に行くと思うが(イシイ)。

横道世之介公式サイト
http://yonosuke-movie.com/
P.S. 前情報は無い方が楽しめるとおもいます。





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