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やよい荘 "Kino-mama"展レポート

ワダ


こんにちは、ワダです。
ブルースタジオの木賃再生プロジェクト第8弾となる洗足池の「やよい荘」が先日竣工を迎え、早速昨日から入居者の方のお引越しもはじまりました。

そんなつかの間に開催しました【"Kino-mama"展】をレポートします。

まずは、会場である「やよい荘」について。

「やよい荘」は、もとは「弥生荘」という渋い漢表記のアパート名をもつ昭和48年(1973年)建築の木造建物です。築39年。

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洗足池のエリアは、丘と谷が入り組んだような土地なのですが、やよい荘が建つのは南斜面の丘の上。2階建てなのですが、街を見下ろすような感覚でとても気持ちがいいのです。
リノベーション前は、庭の既存樹の緑が生い茂っていました。

現在の耐震基準が導入されたのは、昭和56年(1981年)。
それ以前に建築された「やよい荘」は今回、しっかりと耐震補強も行っています。
区など地方自治体が耐震助成制度を設けていることも多いです。

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この部屋には、素描家しゅんしゅんさんの作品を展示しました。

梁から木の箱をぶら下げたり、長押に針金を使って絵をかけたりといった展示アイディアにも目がうろこ。ここに住んでくださる人にも参考になりそうです。

「やよい荘」にあえて残した長押や間仕切りのふすま、天袋収納。
たとえば、長押には絵だけじゃなく帽子をかけたり、実用的にはハンガーを引っ掛けられるなど、とても便利で使い道がたくさんあります。

昔ながらの日本の住まいのデザインやサイズ感を、やよい荘に住む入居者の方が若い感性でどんなふうに工夫して住みこなすのでしょうか。
・・・わたし達も注目しています。

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同じく2Fのとなりの部屋には、中津箒という神奈川県の中津に伝わる伝統的な箒を作る作家の吉田慎司さんの箒を展示しました。

実は今回、やよい荘の4部屋分の箒を作っていただき、入居者様用にお部屋に置いてあります。こまわりが効いて使い勝手がよいので、どんどん活用してもらいたいです。

箒には一生があるそうです。
初めは畳をはいて、次に床の間をはいて、痛んできたら土間をはいて、最後は庭ばき用に。最後まで使い切る、使い続けるという発想を、昔の人はもっていたんだなと感じます。

木造アパートを再生して住み繋ぐこととも、つながりを感じます。

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「やよい荘」のゆとりある外構には、恵比寿のフラワーショップ「kusakanmuri」さんに植栽デザインをして頂きました。

1Fは広々とした専用庭とウッドデッキ付き。お隣さんとの境にはローズマリーと月桂樹を植えて、料理に使ってもOKな食べれる植物にして頂きました。

ちなみに隣家の庭からは立派なミカンの木がのぞいています。
その借景のおかげで、2Fの部屋はまるで"ツリーハウス"に住んでいるような気分です。

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drawing by shunshun / http://www.shunshunten.com/

こちらの絵は、しゅんしゅんさんに「やよい荘」の暮らしを想像して描いて頂いた1枚です。実物の描写であれば20分ほどで描き上げるそうですが、こちらの絵は1時間ほどかけて描いてくださいました。

「このような描き方は初めてだったけれどとても楽しかった」と、しゅんしゅんさん。

素朴な住空間のなかの楽しい生活が、細かい描写でリアルに伝わってきます。
入居者の暮らしが主役、なんだと思います。


最後になりましたが、ご来場いただきました皆様、本当にありがとうございました。
木造アパートを所有されているオーナーの方にも、生活者の方にも、私たちのような作り手の方にも、素敵な可能性を感じていただけましたら嬉しく思います。

木賃アパートの魅力を知る、いち生活者のワダがご紹介いたしました。


<ワダ>





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