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ユキ



ネオンに立ち向かえ
世界が滲んで見えた夜
砂時計の音に乾杯をした


砂が落ちる3分間でできること

おばあちゃんに手紙をかく
コーラの一気飲み
高円寺駅から中野駅まで一駅電車に揺られる
折り紙で鶴を折る
自転車のタイヤに空気を入れる
犬に追いかけられる(でダッシュで逃げる)
もくじを熟読
はみがき
きゃべつの千切り
友人への誕生日おめでとうメールの作成
松の手入れ
さんざん干したフカフカ布団へのダイブ
コンビニで立ち読み
写真を一枚撮る
帰り道に空を見上げて月を探す
モンブランを食べる
ティーカップにのってハンドルをぐるんぐるん回す
夕日が落ちるあの瞬間を凝視する
鉛筆を削る
砂浜に大きくかかとで相合傘を書く
本気で人生を考える
なにもしない

そうしてる間に砂が落ちきった
砂の音が怖いのは今日に始まったことじゃない

でもだからこそなんだ
だからこそ
怖いからこそ
乾杯をする
しんしん積もる砂の音に愛情を持って

酒で惑わせるもんじゃない
糖はその場しのぎの寛ぎにすぎない
性は交わっただけじゃ真実味をおびない

愛してるなら
愛してるって
そう言えばいい

本当のことがやっぱ一番響くんだよ、ここに。


(ユキ)   





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