僕の好きなアートディレクター、DRAFTの宮田識さんについて書かれた本の
タイトルです。
デザインの第一線で活躍している人が「デザインするな」とは何とも不可思議ですが、読み進むとすぐ「なるほど!」と。
デザインは仕事の中のほんの表層にすぎない。
大切なのはその本質を見失わず、徹底的に突き詰めること。
何となく頭ではわかっていても、実践するのはなかなか難しいことです。
「妥協」という誘惑に打ち克つには相当の愛とエネルギーが必要です。
宮田識さんがスゴイと思うのは、そんなクオリティの高い仕事を続けつつ、
多くの優秀な人材を輩出し続けていること。
得てして上に立つ人は自分の思い通りにコントロールしたがるものですが、
それを最小限にとどめ、叱咤しつつ伸ばし育てる。
なかなかできることではありません。
以前canariaの徳田祐司さんにインタビューした時も感じたのですが、
一流のデザイナーは一流の哲学者だと思います。
辞書のように分厚い本ですが、非常に読みやすく、あっという間に読み終えてしまいます。
これは著者の藤崎圭一郎さんの構成のうまさによるもの。
後半の作品集を見ると、「これもDRAFTだったんだ」と思うものが沢山あります。
どんな形であれ、デザインに携わっている人にはオススメの一冊です。
<ユウキ>