緊張と感動と興奮の中で、一生懸命を学びました。
地図もない
知り合いもいない
長靴じゃない
し、カゴがない
なんだかよくわからない
からひとまずトラックの後を追った
気がつけばすでに場内に入っていた
こんなにもセキュリティーが厳しい世の中で
身分を証明することから始まる社会のど真ん中の市場が
これほどまでに自由だなんて。。。
眠気を引きずっていたつま先が
もっともっと奥へ行ってみようと誘ってきた
目新しいものが続く
興奮に混乱がまざって
行く先が定まってくれない
一杯の甘酒ぐらい身体にめぐらせてくれば良かったと後悔しつつ
とりあえず厚焼玉子を購入してみた
矢のしるしがこの世界では通用しないことはすぐにわかった
大将も
板さんも
おかみさんも
新入りのあんちゃんも
トラックの運転手さんも
自転車をこいでる魚屋さんも
あの特殊な乗り物を乗りこなしすぎているおやっさんも
みんな頼りにしているのは自分の感覚だった
だからわたしもそうしてみることにした
でも感覚だけじゃどうにも不安だったので勘にも頼ってみた
なんかもうじゃんじゃん写真とか撮ってる場合じゃなかった
本気で息をしている世界で
安易にシャッターを切れる余地はない
それよりも自分の呼吸を保つので精一杯
石畳に心臓の音が響く
こんなふうに生きていることを実感したのはいつ以来だろう
『不況』という二文字でコトが済む昨日と今日と明日
そんな停滞している流れの中で
この島は換気扇も回さずにいよいよ二酸化炭素に埋もれ始める
ただ、市場は違った
生命力が満月のように輝き満ちて
大切なものが欠けていなかった
ちゃんとそこには命があった
やがて色褪せるだろう写真は
この潔さを伝えきれない
だからといって傷む程の言葉は並べたくない
blogの中味はどうだってよくて
とにかくみんなに1秒でも早く市場に行ってほしくて
最小限にそう願って今日はそろそろ終わりにします
もうすぐ桜が膨らむ
花見の季節
『大量に酒を飲んで池にダイブして吐く』
その為に朝からレジャーシートを必死に敷いて
夜までひたすら場所取りしているのなら
色んなことを一旦やめて
なにはさておき築地市場へ
一生懸命な世界が
明日も変わらずそこに有り続けてくれている
君の命を続かせるために
(ユキ)