bluestudio のスズキです。
先日、友人に借りたこのド渋な本。
「紅と藍」
少し興味があったので読んでみました。
この本では、紅花染めと藍染めについての
解説や歴史が書かれています。
産地は紅は最上、藍は阿波。
紅花染めは紅花をよくこねて洗い、中の黄色い色素を
水で溶かし出し、赤い色素だけの残った花を寝かせて
発酵させ紅餅という団子状にし、これをまたぬるま湯につけ、
灰汁を加え、梅などの酸で中和してはじめて
紅の染液ができる。
藍染めは開花直前の藍の葉を夜中に摘み、細かく刻み
乾燥させ、蔵の中で秋の間中水をやりながら寝かせ、
発酵させてやっと藍の準備ができる。
これに染める物を何度もつけ、空気にさらし、
を繰り返す事で、深い藍の色ができる。
しかも驚く事に、藍の色素の元は無色で、
空気や水に触れて酸化する事で藍の色が出来上がるのだそうだ。
こんな面倒で手間のかかること、誰が考えたんでしょうね。
不思議です。
日本人はこの二つの色が好きですが
なぜなのでしょう?
紅は布や紙を染める染料であり口紅や頬紅といった化粧品、
また油脂資源でもある。
しかし、染料としての紅は
紫外線に弱くすぐに色褪せてしまったりします。
日本人ははかなく移ろいやすい物を美しいと感じ、
それは、すべての生きているものは死ぬという、
身近な現実感だったのでしょうか。
本文中にもありましたが
いろはにほへとちりぬるを
わかよたれそつねならむ
うゐのおくやまけふこえて
あさきゆめみしゑひもせす
という以呂波歌もそれがにじみ出ています。
藍は逆に紫外線に強く、色褪せづらい。
意気と力を感じる色として、庶民に愛された。
植物から出来たこの二つの色は昔から
体を温めたり、虫除けになったり、感情表現の色となったり
日本人の生活に入り込んできた色なのですね。
<スズキ>