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「北島敬三」と「4ヶ月、3週と2日」

ノリ


blue studioのノリです。
先日、恵比寿の東京都写真美術館で行われている、「北島敬三 1975-1991 コザ/東京/ニューヨーク/東欧/ソ連」に足を運びました。


というのは、ルーマニア革命前のルーマニアを描いた「4月、3週と2日」を観て、ソ連崩壊前の東欧の国々の表情を少しでも垣間見たいと思い立ったわけです。

ちなみに「4ヶ月、3週と2日」はカンヌのパルム・ドールを受賞しています。
映画の内容を簡単に説明すると、ルーマニア、圧政の時代1980年代後半、主人公である女子大生オティリアが、妊った友人の人工中絶の手伝いをするストーリー。
子どもの中絶自体が禁止されている中、家族にも、恋人にも、誰にも打明けることができず、さらにはその妊った友人の勝手な行動もありながら、なぜか彼女は本人以上に辛い思いをする。

ご覧になった方はご存知かと思いますが、見終えた後になんとも言い難い気持ちになります。
政府の圧政が悪いのか、人間個人の倫理観の問題なのか。
いろいろと考えさせられます。

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内容は全く違いますが、なぜか東ドイツ崩壊前のドイツを描いた「善き人のためのソナタ」を思い出しました。
ちなみにこちらは数年前にアカデミー外国語映画賞を受賞しています。

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そんな共産圏の国々が崩壊する直前、北島敬三は、西ベルリンに生活の拠点を置き、東欧の国々、ソ連の人々を数多く取材しています。
経済至上主義の真っ直中とも言うべき、1970年代の東京、ニューヨークのエネルギー溢れる人々の写真と比べ、その国々の人々は、ほとんどがどことなく重く厳しい表情をしています。
しかし、その奥にはそれぞれの生活が垣間見えるような表情でもあります。
一見同じような服を身に纏い、同じような車に乗っている人々が、個人のレベルでは感情豊かな生活があることが読み取れ、それが、冒頭で書いた映画の内容とシンクロして、なんとも不思議な感じです。

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「プラハ/PRAGUE 1983年」

お時間があれば、ぜひご覧になって下さい。





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