フランスの画家、ベルナール・ビフェ。
富士山周辺に行ったとき、空き時間にパラパラめくって見ていた雑誌のなかで、ビュフェ美術館が小さく紹介されていました。その掲載ページを頼りに、急遽訪れて、こころを奪われてしまいました。
ビュフェの絵は、曲線がほとんどなく、直線で構成されているものが多い。
たとえば、女の人の身体でも、彼が描くと丸みが排除されて、艶かしさもなくなる。
モデルをいさぎよい線で捉える。
そんなところが、好きでした。
壁に掛けられていた、説明文も記憶に残っています。
「彼はほとんど病的といっていいほど、感受性が強く、内向的でした。たとえば、質問に対して的確に答えるが、それ以外はひどく無口、というように」
これは、ビュフェが自分のアトリエを撮影することを許した、唯一の写真家リュック・フルノルの言葉だったと思います。(間違っているかもしれません・・・)
リュックは、ビュフェと妻のアナベルを引き合わせた人物でもあります。
「2人がなんだか気が合うようだったから、一緒に写真を撮らないか?と提案したんだ」
普段は無口で1人でいることの多かったというビュフェが、なぜかアナベルには心を開いて語りかけ、一方、男勝りだったというアナベルが、ビュフェに対しては自然と物静かな聴き手にまわる。そんな出会った日の2人の写真がありました。
2人の関係は、「Significant Others 重要な他者」と表現され、生涯にわたって互いの才能を尊重し、仲睦まじく過ごしたといいます。
ビュフェ美術館は、ビュフェの作品のみを収蔵する美術館で、初期の作品から、晩年の作品まで、その作品の多さにも驚きました。1人の画家と、これほどじっくり向き合える美術館は初めてでした。
また訪れたい。好きな美術館の1つになりました。
<アユミ>