bluestudioのノリです。
特定の匂いを嗅ぐと、過去の体験や空間のイメージを呼び起こすことができます。
もしかしたら、その力は写真以上に強いのではないかと思います。
写真を見て昔の出来事を思い出す場合、
写真の持つ画の強さに自分の記憶が負けてしまって、
体験の本質がブレてしまう場合もあるのではないかと思う訳です。
一方、匂いは目で見えないにも関わらず、
過去に蓄積された特定のシーンへ瞬時に連れてってくれます。
なんでしょう、匂いって??
土埃の匂い、教室の匂い、雨で湿った電車の中、
中華料理の香り、実家の匂い、ガソリンの匂い・・・。
いい香りから臭いモノまで、匂いは数限りないほどありますが、
匂いに関して本当に面白いのは、実はその匂いではなくむしろ思い出。
その匂いと共に蓄積された思い出の方なんじゃないかと思います。
例えば、来日した外国人にとって、
日本は魚と醤油の匂いがすると聞いたことがあります。
きっと、本国に戻ってもそれらの匂いを嗅ぐと
日本での出来事を思いだすに違いありません。
私自身、上海は油と黒酢とスモッグの匂いというイメージあります。
スモッグの匂いなんて決して良いモノではないのですが、
それらの匂いを嗅ぐと上海での楽しい生活だって思い出します。
そう考えていくと、その場所(空間)の記憶に起因した居心地の良し悪しは、
匂いと強く結びついてるように感じます。
逆を言えば、匂いの演出次第で、いつの日か思い起こす
体験の記憶の良し悪しをコントロールできるかも!?
数年前、スイスの建築家H&deMは、
そんな都市の匂いについて関心があったようで、
これからは香水メーカーでもファッションデザイナーでもなく、
建築家が香水をつくるべきだと言ってた事を思い出します。
どこの都市かは覚えていませんが、実際に都市の香りを抽出して、
香水をつくったようです。あまり、嗅ぎたいとは思いませんが・・・。
香水瓶をデザインするというのは、よく耳にする話ですが、
こうした、空間をつくる人が香り自体をつくるという試みは面白いです。
みなさんはblue studioの物件写真からは
どんな匂いをイメージするでしょうか。
空間をつくることを生業としている人間にとって、
見に見える部分に加えて、目には見えない香りをつくりだすことも
実はとても大切なことかもしれません。