仕事で、ある映画を思い出した。
私は昔、映画館で映画をよく見ていた。月20~30本。
けっこう真面目に。(笑) 今はDVDでもっと観てる人も多いでしょうが...。
家で蓮実重彦さん編集の映画評論誌"リミュエール"を掘り起こし、とある映画ネタを探す。
本を見ながら、当時を振り返ると映画館には劇場?ならではの醍醐味もありましたね。((笑))
大きなスクリーンのあった池袋の文芸坐の最前の席でクリントイーストウッドの映画を字幕で観る。独り占めな感じは良いのだが画面がデカすぎて字幕が追えない。おまけに2本立て。すごく疲れた。((笑))
オールナイトでサイレント映画を観ているとオジサンが酔っぱらいながら内容を全部話してしまったり(オールナイトは泊るより安いので宿泊代わりにしている人もいる。そんな人は何度も同じ映画を観てるから詳しい)、サイレント(無声)なので映画館中に彼の声が響く。((笑))
話がそれました。
とある映画、それは今でもよく憶えている"四つの冒険"(エリックロメール1986)。
2人の女の子が夏を田舎で過ごした時のお話で短編の4部からなるフランス映画。その一つに"青い時間"という話があります。
みなさんは普段、朝~昼~夜~朝とういう毎日の時間の流れに境界線をもっていると思いますか?
朝は起きて活動し、昼は時計のテッペンの前後、暗くなったら夜が来て、寝て起きたらまた朝が来るという社会や自分の経験、時計の数字で認知されていると思います。
自然界にも時間、その境目がある?らしいです。"四つの冒険"の青い時間は、夜から朝に変わる時を女の子2人が体験します。
夏の夜は虫が鳴き、朝は鳥が鳴きます。
その境目に僅か数秒間、青白い空に無音の世界があり、それが夜から朝に変わる時なのだそうです。言われてみれば、夜の虫と朝の鳥は同時には鳴きません。
その時間を"青い時間"として描いています。非常に微妙な感性でしか表現しえないところを、色にたとえて時間の流れを表現した映画です。フランス映画らしく人間模様と織り交ぜ、ストーリーも面白いものでした。
時間をデザインするという言葉について考えているうちに、そんな映画を思い出しました。
監督のエリックロメールは前年の1985年に"緑の光線"という映画でヴェネチアの金獅子賞をとっていますがこの映画も、これも自然と人をテーマにしていて日没に一瞬だけ見える緑の光を見た人は幸福になれるという話を聞き、愛する人とそれを見たいと願う女性の話。
そもそもロメールはヌーベルヴァーグの重鎮であり、ゴダールらとともに映画監督以前に雑誌"カイエ・デュ・シネマ"に関係した評論家でもあり映画界を長くやっている割に作品は少ないですが、人間的な映画が多いです。
言葉の表現のせいか、フランス語講座などの題材としても良く使われていました。
残念ながら、日本での劇場公開は昨年が最終上映だったみたいですが、DVDでは観ることができるので機会があれば。観てみてください。
私は未だ空間で時間を表現する回答が見つかりませんが、見えないモノを表現するのは難問です。
INO