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4月1日という日

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4月1日、エイプリルフール。1984年のこの日に起きたことはみんなが嘘だと思っていたそうです。
私は10年来、この日に毎年通うお店がありました。
青山の青学の横にある小さなソウルスナックSoulOAという店。

2006年の春に35年の歴史に幕を下ろすまで通い続けました。一時期はまるで家のように自由に使わせて頂きました。通っていた理由の何が?って、ここではお店のキャラクター、お客、すべて大の大人が一々ハプニングだらけで日常とは別次元のことが起きていたから。

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4月1日はソウル(黒人音楽のほうです。)界の重要な一日。音楽好きな人はわかるかもしれませんが、マービン・ゲイの命日(1984年)で誕生日(1939年の翌日)。生きていれば今年70歳。誕生日に牧師の父親に射殺。もう25年前の話ですが。

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 この日、お店では毎年パーティーが行われ、20人強しかお店に入れない所に老若男女、50人近くがお店にあふれます。隣の青学の学生、教授、20~30年通い詰めている常連、有名なミュージシャン、業界関係者、あとガイジン全般等々。20代前半から60代まで小さな店にギュウギュウに詰め込まれますが、結局めんどう臭くなって、ほとんどの人が道で飲んでいたり。お客さんの中で最も変わっていたのは、某G1競馬のレース主宰一族にもかかわらず、当時の仕事は赤帽の運転手にして、なぜか中国に飛行機の運転講習に通っていた60過ぎの叔父さんが大森のほうから毎週、歩いてお店に通っていたり??みんな、あまりにも自由(笑)。
 更にここの料理人は元?旅行会社社長で世界中を旅して肥えた舌を生かせる店を求めていて、たまたま目にしたこの店の厨房の火力を見て、アルバイトで約15年居座る形で料理をするようになったそうです。みんなが口をそろえて言うのは、
 この店の味は確かに美味しい。でも二度と同じ味に会えない(笑)。
 なぜって、料理作りながら楽しくなっていつもお酒飲んでやってるからです。(笑) 料理人は見た目も厳つく、街で自分の娘に声掛けたら逃げられたって言ってました。(笑) 季節に関係なくビンテージジーンズにタンクトップで、料理しながら、いつの間にかベロベロという強烈なキャラの叔父さんでした。
 基本この店はママのパワーと江戸っ子器質の切符の良さに魅かれてみんなやってきます。同業からも愛され九州や北海道から毎年巡礼のようにやってくるソウルバーの店主も多かった。1971開業は日本でソウルバーとしては2番か3番に古さを誇り、2006年には最後の現役老舗店でした。ちなみに1番は六本木(今は西麻布)のジョージ(現在はオーナーが交代しています。)

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 10年近く通って、私がここで素直に学んだことはみんな自由に楽しく生きている大人(40~50代)に出会ったことでした。いわゆる仕事での一般社会の大人とも異なり、外国に行ったくらい異様な感じでした。
最後に少しマービン・ゲイのお話もしましょう。

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 この店で見た映像で私が最も感動した映像です。最初に見た時はマジで普通に泣きました。1983年NBA開幕の国歌斉唱シーン。もう言葉はいりません。
http://www.youtube.com/watch?v=QRvVzaQ6i8A
 マジック・ジョンソンはこの現場にいたそうで、後に「まさに圧巻。身体が震えるほど感激した。」と語っていたとのこと。
 先日のオバマ大統領の就任式で、大御所アレサフランクリンがアメリカ国歌(旧歌)斉唱をしていたのも印象的でしたね。

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 他にもこのお店では他に青山の教授による"ジョンレノン"、音楽評論家 桜井ユタカ/鈴木啓志さんの"オーティスレディング追悼"などのイベントが毎年ありました。お店はもう無いですがご興味のある方は歴史的な記録の情報が載っています。下記、ご参考ください。
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http://blog.soulsearchin.com/archives/001009.html





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