稲穂が実り始めるお盆。
先祖を迎えるための盆棚を彩る紅紫色の小さな花弁が今回の主役です。
この花の名はミソハギ(禊萩)。
湿気を好むこの花は、小川のほとりや田んぼの畦に自生あるいは栽培されています。
田んぼの畦に咲くこの花の、鮮やかながらどこか儚気な姿。
昔の人々は農作業の合間にふとこの花を見て、先祖を想い、今年も稲穂が実り始めたことを感謝していたことでしょう。
私の実家でもミソハギを栽培して盆棚の飾りに使っています。
青々とした田んぼに紅紫の彩りを添えるミソハギが美しい風景を作り出していました。
田んぼの周りには季節によって様々な彩りが添えられます。
お盆という文化があるからこそ栽培されるミソハギ。
春先に田んぼに肥料として植えられる一面のレンゲソウ。
お彼岸を知らせてくれる彼岸花(土に穴を掘る小動物を避ける為に有毒な鱗茎をあえて持ち込んだという説もある)。
田んぼに植えられる花々にはどれも意味があるとすれば、
風景は形としてデザインされる対象というより、人々の営みや文化の表れなのではないかと感じました。
まだまだ風景に潜む秘密はたくさん有るはず。少しづつそれらを解き明かして行ければと思います。