こんにちは。ヘイタクです。
街を歩いていると、場所の記憶を留めるモノと出逢います。
地形、建物、水路や階段。それらはそこかしこに散りばめられています。
探偵気分で街を歩き眺めては、かつての時代に思いを巡らせる。
今回は歴史散歩のお誘いです。
社寺の建物もそのひとつ。
ある日、ハタと思い出して東村山へ。
目的は、正福寺地蔵堂。
禅宗寺院の建築様式を伝える、国宝です。
正福寺は、禅宗と呼ばれる宗派のお寺です。
禅宗が中国から日本へと伝えられたのは、鎌倉時代。今から約800年も前のこと。
この頃、日本で禅宗寺院が建立される際に、
「禅宗様」という建築の新しいデザインが大陸から伝えられたと考えられています。
しかし、この「禅宗様」。残念ながら鎌倉時代の建物は現存しません。
では、鎌倉時代に伝えられた禅宗の建物はどんな姿だったのか。
それを探る鍵になるのが、この正福寺地蔵堂という仏殿なのです。
正福寺地蔵堂が建てられたのは、室町時代の応永14年(1407年)。
現存する年代が明らかな禅宗様の建物としては日本最古の建物です。
すっくと背筋を伸ばしたように立ち、
羽を広げるように反り上がって伸びる軒先。
禅宗様式が伝えられるまでの日本建築は、
軒が低く、水平に広がる簡素で穏やかなものばかりでした。
背が高く細部が華やかな禅宗建築を初めてみた鎌倉時代の人たちは、
「なんてダイナミックなんだ」とか「軒先の組物や変わった建具や欄間はカッコイイな」とか
感じたに違いありません。
これを物語るように、その後の低平で簡素な日本建築にも、
次第と禅宗建築のエッセンスが取り入れられてました。
当時の人の気分になって街を歩き見渡せば、
近代、近世からはたまた縄文時代まで、
いろんな時代へと時間旅行することができます。
心地よい秋晴れの散歩日和。
趣向を変えて、探偵気分で歴史散歩などいかがでしょうか?