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プロジェクト背景
プレハブ型賃貸の再生

築38年の軽量鉄骨アパートのリノベーション

既存建物は、東京都世田谷区「経堂」駅から
徒歩7分の場所に建つ築38年の軽量鉄骨アパート。
セキスイハウスBFA型アパートの初期モデルの流れを汲むプレハブ型で、
鉄骨部材を工場でプレハブ加工の上、現地で組み立てるという
合理的かつ比較的安価に、誰もがスピーディに建てることのできる工法の代表格。
1975年に発売されて以降、日本全国で愛されてきたロングセラーのアパートです。

このアパートの大家から相談を受けたブルースタジオはリノベーションを提案。
当プロジェクトにおいて、マーケティング・企画、建築設計監理、プロモーションおよび管理を担当しています。

アパートが建つ場所には以前、母屋の傍ら、松林がありました。
今も庭で育つ木々の多くは、当時の苗木が数十年かけて育ったものです。

私たちは、その頃から変わらない空気感や風の抜け、採光などの良好な環境、
そして、軽量鉄骨造のアパートの工業製品らしさを最大限に活かすことを試みました。

目指したのは、これから20年先までハードウェア・ソフトウェアともに、
収益不動産としても、街を構成するひとつの建築物としても生きながらえさせることです。

コンセプト
既存価値の再発見

70sデザインと「風化」の魅力を次世代ニーズとつなぐ

フロー社会から、ストック型社会へ。
その重要性が明らかとなってから久しくたちます。

当プロジェクトでは、建物のハードウェアの長寿命化のために、
設備配管、電気配線はすべて更新し、壁天井には断熱材を充填。
建物診断のうえ、任意の耐震補強も実施しました。

しかしながら、物理的な建物の性能向上は、それ単体では十分な意味をなしません。
建物をこれからのストック型社会にふさわしい、人々に長く愛される場所にするためには、その建物の「使われ方」(=ソフトウェア)に魅力がなければなりません。

70年代の合理主義的な価値観がにじみ出るプレハブ型アパート。
一方で、40年経った今、このアパートに芽生えているのは、
木造賃貸アパートや古ビルなどで既に一般化しつつある「風化」の魅力です。

また、ロングライフデザインの人気や世界的に広がるレトロ・リプロダクションの盛況を見れば、70sのデザインが、ジェネレーションYの日常において、確固たる地位を占めているのは明らかです。

私たちは、このアパートが「いよいよ旬を迎えている」という確かな実感をもちました。

デザイン
インフィルの最適化

味わいを残しながら、今時の暮らしの箱をデザイン

経年による味わいを残すため、建物の外観や共用部は既存の素材を“磨く”のみとし、
新たな装飾は極力排除しました。

一方、内装のデザインは、ひとり暮らし+α、ふたり暮らし+αを想定して、
水廻りをコンパクトに、リビングを広々と配し、住み手の工夫次第で使いこなせるよう、用途を固定しないテーブルやデスク、収納棚を設けました。

また、年月を重ねるごとに味わいが増していくよう、
クルミの無垢フローリングやスチールなど本物の素材を使用しました。

プロモーション
暮らし方を焦点に発信

新築と同等の賃料で早期満室

リーシングプロモーションでは、ブルースタジオのWEBサイト等での告知のほか、
工事段階から特設サイトを開設し、物語性のあるコンセプトやアパート周辺の街の紹介、プロジェクトのプロセスなどを発信していきました。

心掛けたのは、ソフトウェア/マインドウェアを大切にして、
暮らし方やコミュニティ、時を経た味わいなどの価値を丁寧に伝えていくこと。

さらに、入居申込み後に住み手が壁の一面を好きな色でペイントできるサービスも付加しました。

このようなプロモーションの結果、募集と同時に入居希望が多く集まり、
周辺の新築アパートと同等の賃料で短期間のうちに満室となりました。

その後の展開
住みこなすマインド

多様な暮らしを受け入れる住まい

「手持ちの家具と合わせやすい内装でした。
 気に入っているのは、大きなキッチンテーブル。お菓子作りのときに重宝します」
そう話すのは、結婚を機に『さくらアパートメント』に入居した奥さまです。

一方、実家を出て一人暮らしを始めた女性は、
「他の物件は見ずに、すぐに入居を決めました。
自分の理想の部屋の条件がすべて満たされていたんです」と話します。

住み手の暮らしという活力が溶け込んだアパートは、まさに「今が住みどき」。

『さくらアパートメント』は、2014年にグッドデザイン賞(住宅・住空間部門)を受賞。「敷地固有の条件を加味しながら、同時に同様のストックの改善の一般解へのアプローチを示したもの」と評価をいただきました。



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