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INTERVIEW No.14


「不動産の『資産価値』と『利用価値』」

長島 修 / Osamu Nagashima

長嶋さんと話していると、本当の不動産の世界が見えてくるような気がします。中を知っている人が外から発言しているからです。マイホームは資産?負債? 資産価値と利用価値とは???専門的でしかも一般のユーザーにも重要な内容を分かりやすい言葉で語っていただきました。

ブルースタジオ(以下BS) 長島 修(以下ON)

不動産業界に対する疑問が爆発

BS 不動産業界でお仕事をされてこられた過程で不動産業界に疑問を感じたことが、独立してさくら事務所を始められるきっかけになったそうですが、、、
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ON 実はその前に広告代理店にもいたんですよ。不動産に転職して売買の仲介、建売り、注文住宅、新築から中古まで営業の仕事は何でもやりましたね。よく売りましたから一年も経たないうちに店長になり、いつの間にか20人ものスタッフを動かすようになっていました。モノスゴク売りましたよ。ところがある日ふと気付いてしまったんですね。「オレはとんでもないことをやっているのかもしれない、売る立場でしかモノを考えて来なかった」って。

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BS まさか、その日を境に売れなくなったとか?
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ON そうなんですよ、6か月間も(笑)。それまでは、「自分の目の前にいるこのお客さんには買ってもらうためには、どのようにすればいいか」ということを考えるのが販売活動でした。でも、お客さんの本当の立場に立てば、買わないという選択肢が一番いいこともあるし、買うにしてもそれは今じゃなくて5年後がいいということもあるかもしれない。「一般のユーザーが安全で安心して不動産売買ができるように、よりユーザーの立場に立ったコンサルテーションしないといけない」そう考えて企画書をまとめ、社内ベンチャーとして提案しましたが全く相手にもされない。門前払いをくらったんですね。頭にきて独立しました。
BS そうして長嶋さん一個人の疑問から始まったさくら事務所ですが、今のように、各方面で注目されるようになるまで決して平坦な道ではなかったと思いますが。
ON この仕事で3つの条件を満たしたいと考えているんです。1. 自分が好きな仕事であること。2.世の中の役に立つ仕事であること。3.ビジネスとして成立する仕事であること、です。1と2については独立の時点ですでに確信がありました。最後の3についてはかなり研究や勉強をしましたし、協力者も集まり、かなりいい方向で進むようになってきていますね。
BS これからさくら事務所をどのようにしていきたいかについてのビジョンを語っていただきたいのですが。
ON 株式会社にする予定があります。それから個人向け不動産コンサルタントとして全国展開していきたいと考えています。ただし、組織はあくまで少数精鋭で。また、遠い将来のことは分かりませんけれど、私たちも「日本の不動産取引を良くしたい」という使命を果たすことができたら、また不動産業者に戻っているってこともあるんじゃないでしょうか。

『資産価値』と『利用価値』

BS 長嶋さんが、メールで流してらっしゃるコラムの中で、「わたしはロバート・キヨサキほど『マイホームが負債である』と断定するつもりはありません」とありました。「負債」ではないとなると、やはり「資産」だとお考えですか?
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ON 彼はベストセラー「金持ち父さん 貧乏父さん」の中で「マイホームは負債である」と言い切っています。所有することでお金が出ていくようなものを「負債」と呼ぶなら彼の主張は正しいのですが、現実にマイホームを買うという行為には夢や幸せ、情熱的側面も強いわけで、金銭的側面はその夢、幸せ、情熱のための裏付けであるべきです。人間は決してお金のためだけに生きてはいませんから。
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BS また、長嶋さんは「不動産の『資産価値』という概念がだんだん弱くなっていく、『利用価値』という概念が主流になっていく」ともおっしゃっています。これは具体的にはどういうことなのでしょうか?ブルースタジオにも「どうせ買うマイホームなら資産価値のあるものを。」という問い合わせは後を絶ちません。。。
ON まず価値をストックとフローに分けて考えます。土地が放っておいても高く売れる時代には、不動産のストックとしての価値が非常に高く、土地本位制が成立していました。しかし、今の時代では放っておいた不動産が高く売れることはありません。不動産のフローとしての価値を高めていかなくてはなりません。これからストックの価値はどんどん下がり、フローの価値は相対的に上がってゆくと考えられます。いままで高い土地のうえに安い建物を建てるのが一般的でしたが、これからは土地から建物に価値が移動していきます、とそういうことです。
BS 建物の価値を高めるにはどうすれば良いのでしょうか。
ON 建物の耐久性と可変性を高めるということだと思います。可変性ということはつまり間取りの変更が可能なようにしておくということです。今の時代のトレンドは、平米数は大きく(広く)なる一方で間取りは小さく(部屋数が少なく)なる方向に向かっていますよね。30年後にどのようなトレンドになっているかについてはプロでも断言できませんが、重要なことはそのニーズに対応できること、つまり可変的であるということだと思います。
BS なるほど。ブルースタジオのリノベーションもそういう文脈で語ることはできると思います。
ON そうだと思いますよ。中古住宅をニーズに合わせて変化させていけるかどうか、さらにはそれをいくらで貸すことができるかということがとても重要になってきます。マイホームを買う時に、毎月のローン返済額が今の家賃額と比較してそれより高いか安いとかそういったことを気にされる方は多いですが、本来は、貸すことができるであろう賃料を計算し、それと比較して高いか安いかを判断するべきじゃないでしょうか。だってこんな時代ですから、リストラや、減給があったときのことを考えなくてはリスクヘッジとしては不十分と言わざるを得ませんね。
BS 今日は、これからマイホームを買おうとされているお客さんにとっても非常に貴重なお話があったと思います。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
ON こちらこそよろしく。

2003年4月9日 都内にて
インタビュアー:泥谷英明(blue studio)

長島 修

Osamu Nagashima

達人:長島 修
不動産調査さくら事務所代表/CEO(最高経営責任者)兼会長/主席コンサルタント/
国土交通大臣認定不動産コンサルティング技能登録/宅地建物取引主任者/
「一般購入者・投資家・経営者向け不動産セミナー」、不動産投資勉強会「エクシード」主宰。
執筆活動・雑誌等への寄稿、TV出演、マンガ制作協力等、多方面で活躍中。
これまで数々の不動産投資成功者を生み出していることでも知られる。





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