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INSIDE Vol.29


武蔵野の自然に暮らす

Vol.29

東京都三鷹市『縁木舎』 リノベーション 賃貸 カップル
専有面積: 54㎡
職種: グラフィックデザイナー
趣味: カフェ巡り・ボードゲーム

雑木林と共生する暮らし

井の頭恩賜公園を抜け、四季の便りを感じる家路の先に、賃貸共同住宅『縁木舎』はある。アパート一棟を修繕するのを機に、敷地内に自生していた木々との共生をテーマに、リノベーションをした。オープニングイベントでは植樹体験を企画し、家主さんや住人さん、近隣にお住まいの方たちを招き、身近な植物について学び親しんだ。今では植えた植物がのびのびと育ち、アプローチには多くの木々が出迎えてくれる。家に入るとリビングから見える庭先には、雑木林が広がり、木々に囲まれた家であることを実感できる。

今回お話を伺ったのは太田博久さん・ゆかさんご夫婦。
夫の博久さんは、劇場やコンサートのポスターを手がけるフリーランスのグラフィックデザイナー、妻のゆかさんはオーガニックの食品を取り扱う会社に勤務している。ふたりは好きなものも似ていれば、読む本も一緒という似た者夫婦である。

縁木舎との出会い

物件探しの当初、少しかわったものやこだわりのある物件を探していた太田さんご夫婦は、まちや広さなど条件を変えながら色々なWEBサイトを見つつもなかなか気に入るような物件が見つからなかったそうだ。
そんな時に10年前からファンだったブルースタジオのWEBサイトを見て、希望の都心に近いエリアではなかったが、掲載していた1LDKの間取りに惹かれ「ここでなら仕事場も作れて、理想の生活ができるのではないか」と考え縁木舎の内見を申込んだ。

「12月の内覧会で初めて部屋に入ったときに、丁度庭の木々から木漏れ日が差し込んで床に海のように光が広がっていたんですね。冬なので寒い寒いって来たらここがビジュアル的にもすごく暖かくて。多分その時エアコンは付けてなかったんですけど、なんか本当に暖かく感じてもうここに住みたいなと思いました。」と博久さん。

縁木舎のコンセプトは「木々の下に、人が集い縁(えん)を育む舎(いえ)」。それぞれの専用庭はあるがままの自然と共存する事を目指し、元々あった雑木林の樹形や環境に合わせて剪定するだけに止めている。
そんな縁木舎の庭はまさに深緑の森。その窓から広がる光景と実際に肌で感じる自然とのふれ合いが、ご夫婦がここに住むことを決断するきっかけとなった。

都心の森に暮らす

現在引っ越してから数ヶ月。これまでの暮らしの中でふたりが気に入ったものだけを集めた家具を活かした部屋のレイアウトは、まるで『縁木舎』に合わせてしつらえたかのように部屋に馴染んでいた。自然に囲まれた環境の中で、充実した日々を過ごしているそうだ。

博久さんは在宅仕事で、日中仕事部屋にいることが多い。
仕事場の既存のモザイク窓から差し込む光は博久さんのお気に入りの場所であり、気持ちよく仕事ができるそうだ。そんな博久さんのささやかな楽しみは仕事の合間のブレイクタイム。コーヒーにこだわりのある博久さんのお気に入りは、イタリアから取り寄せたコーヒーマシンとボーエ・モーエンセンがデザインしたチェストのセットだ。コーヒーを片手に、テラスでのんびりとくつろぐ時間が日々の暮らしを豊かなものにしているようだった。以前はよくカフェに行って仕事をしていた博久さんだが、引っ越してからはほぼ家で仕事をするようになったそうだ。

「“休憩中”っていうテラスで飲んでいる写真が送られて来たりするんですよ。」
と羨ましげに語るのはゆかさん。

ゆかさんのお気に入りは広々と使えるキッチン。休日はよく友人を招いて料理を振る舞う程の大の料理好きのゆかさんは、調味料から食材までオーガニックなものにこだわる本格派。そんな彼女にとってキッチンはとても重要だ。2人で作業しても悠々と使える程の広さや、木材を基調としたシンプルなデザインも気に入っているそうだ。
キッチンにはふたりの選び抜いた道具が並んでいた。

そんなふたりの最近の楽しみは早朝の井の頭公園の散歩だ。
日中は賑わいを見せる井の頭公園も、早朝は鳥のさえずりだけが聞こえる程静寂に包まれている。朝少し早く起きてゆかさんの通勤と合わせてふたりで静かな公園を散歩することが日課となっている。

木々の下に集う人々

お話を伺った日、『縁木舎』では満室になって初めての入居者会が開かれていた。
博久さん・ゆかさんご夫婦を始め、入居者の方々とオーナーさん、『縁木舎』の植栽をデザインした正木先生とブルースタジオのメンバーが集まった。
青空のもと、皆で庭に芝生の苗を植えたりおしゃべりをしながらおいしいご飯とお酒を持ち寄って、最後にはひとりひとりが自分で選んだ庭の樹にネームプレートを手書きでつくるという『縁木舎』ならではのイベントだ。
まだご夫婦が入居した当初は植栽が植えられたばかりの状態で緑も少なく、他の入居者も居なかったため少し寂しい印象だったそうだ。それが今となっては、皆で土いじりをして、最後にはふたりの家でコーヒーをふるまうような関係が生まれていた。

都心に居ながら郊外に暮らしているようにゆったりとした今の日常に、とても満足していると語るおふたり。今後は、『縁木舎』という大きな木のもと、そこに集う人々と新しい出会いの芽を育てていってほしい。

2016年5月14日 『縁木舎』にて
撮影:谷田恭平  取材・記事:寺田晴香・今村仁哉(すべてblue studio)

今回の入居物件のご紹介

東京都三鷹市『縁木舎』
専有面積:54平米
竣工年:1982年
リノベーション完了:2015年12月





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