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INSIDE Vol.17


状況がデザインされた
SOHOビル

Vol.17

東京都港区『ラティス青山』 リノベーション オフィス
専有面積: 63.78㎡+56.02㎡
職種: ファッションスタイリスト
趣味: ***

建物によるイメージアップが魅力に

『ラティス青山』は、地下鉄の3路線が乗り入れる「青山一丁目」駅のほぼ真上、青山ツインタワーの隣にある。元々は築38年のオフィスビルだったが、「クリエイターズヴィレッジ」をコンセプトに一棟まるごとリノベーション。1階の路面には「246 CAFE」と洋書等を扱うブックストア、地階にはフォトスタジオ、そして上層階には全44戸のSOHOが入る複合ビルとなり、入居クリエイターだけでなく、近隣に暮らす人や働く人たちを含む人の交流を生む建物へと生まれ変わった。リノベーションの完了から7年が経った今、各々の入居者が展開する多様な活動や彼らの求心力が仲間を呼び、この場所、この建物ならではのコミュニティが醸成されている。

ラティス青山の7階、メゾネットタイプの2部屋に入居しているのは、男性向けにファッションコーディネートのサービスを展開しているファッションスタイリストジャパン。代表の西岡さんは『ラティス青山』を内見して、即決で入居を決めたという。

「以前、ここに入居している知人を訪ねたことがきっかけで『ラティス青山』のことを知り、いいなと思っていたんです。会社を設立してから5ヶ月、当時はマンションの1室を借りていたのですが、想定よりも早く次のオフィスへ移る状況が整ったので、さっそく空きがあるかどうかを問い合わせました」

南青山という地名や青山一丁目駅から徒歩2分という立地。路面のテナントによって図られている建物のイメージアップ。入居後に家具をコーディネートしやすいシンプルでカッコいい内装。賃料は少し予算をオーバーしていたが、それに対する価値は大きいと判断した。

「独立して最初にセレクトショップを数店舗つくったので、お金と労力をかけて一から空間をつくり上げる大変さを知っていました。ラティス青山は、僕たちが仕事をする“状況”が入居の段階で既に完成されていて、軸があるようなもの。スタートダッシュになるので、起業家としてここにオフィスを持つことの費用対効果はかなり魅力だと思ったんです」

細部にまで心が配られたオフィス

ファッションスタイリストジャパンでは、中廊下を挟んで向かい合う2部屋のメゾネットのうち、1階の各部屋を応接室とスタイリングルーム、2階の各部屋をスタッフルームとストックルームとして使っている。

「お客様の導線、いかに広く見せるか、デッドスペースをどう使うか。この3点はオフィスをつくる時にかなり考えました」と西岡さん。あえてむき出しになっているコンクリートの躯体や配管、階段がつくるデッドスペース。このようなスペースは、ミニマムな空間ゆえに使い方に工夫が必要だ。ファッションスタイリストジャパンでは、デッドスペースを収納にあてたり、アートやグリーンを飾ったりして上手く活用している。不思議と、入居前のがらんどうよりも入居後の方が空間が広く感じられる。

また、木製の家具はウォルナット材、ファイルの色はブラウン、コートかけのハンガーは社名のロゴを入れたオリジナルに統一している。細かい部分にまで心が配られたオフィスにお客様は感動することだろう。

2階のスタッフルームでは社内ミーティングを行うほか、キッチンで昼食を手作りしスタッフみんなで食べる日をつくっている。

「仕事のスペースだけでなく、仲間のためのスペースも大切にしています。お昼ごはんに美味しい手料理を食べられたら、それだけでもここで働いていてよかったとスタッフのみんなに思ってもらえるんじゃないかと思って。有機野菜を取り寄せてみんなで食べることにしているんです」

「ファッションは内面の1番外側」

「このデスクはオーダーして作ったものです。インテリアとファッションって、“ここは絶対押さえておかないと”というキーアイテムがあるところが似ていると思っています。僕にとってデスクは絶対に押さえておきたいアイテム。少し高かったけど一生ものです」と西岡さん。

スタイリングルームのオープンシェルフには、デニム、Vネックニット、ベストなどが整然と並んでいる。これらは、メンズファッションのポイントとなるキーアイテム。約2万人の男性のスタイリングを手がけてきた経験から、キーアイテムについては倉敷でオリジナルの商品を制作しているそうだ。起業前、ショップ店員として、日々数多くのお客様のコーディネートや商品の陳列をしていた経験を生かし、服や小物が美しく陳列されている。

西岡さんがあくまで「男性専門」のスタイリストとして活動するのには理由がある。

「ファッション雑誌を買ってビームスやアローズに洋服を買いに行くのは、男性全体の2割と言われています。でも僕は、残りの8割の男性の中にも本当はオシャレをしたい人が沢山いると思っているんです。ファッションが変わると見た目の印象が変わりますが、1番はその人の自信になるんです。それって周りにもすごい影響力があるので、自分のためだけではなく、実はみんなのためでもあると思うんです」

「ファッションは内面の1番外側」と表現する西岡さん。その言葉どおり、1人1人とじっくり向き合う西岡さんのファッションスタイリングの仕事は、内面のスタイリングとも思えてくる。これからも青山、表参道、代官山などのエリアを拠点にファッション業界で活躍していきたいと語る。

2011年2月18日『ラティス青山』にて
撮影:藤沢百合 取材・文:和田亜弓(共にbluestudio)

今回の入居物件のご紹介

東京都港区南青山『ラティス青山』
専有面積:56.02平米
竣工年:1965年10月築
リノベーション完了:2004年4月





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