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Vol.06

東京都新宿区『2SKY.BLDG』 リノベーション オフィス
専有面積: 50.69㎡
職種: 映像コミュニケーション企業経営
趣味: プログラミング・小旅行

良い環境に身を置くことが大切

2008年4月、ブルースタジオの設計による大規模なリノベーションにより新しい船出をスタートした第2スカイビル 。「vol.05 調和する論理と感性」に続いて、このビルの入居者を紹介する。
最上階にオフィスを構えるウタゴエ株式会社は、2001年に園田智也さんが大学の博士後期課程に進学した年に設立した、映像配信技術によるコミュニケーションサービスを提供するIT企業。
ウタゴエ社が最初にオフィスを構えたのは、原宿の一等地。現キャットストリートの間近にあるガラス張りのお洒落な長屋に、アパレル、飲食、建築・・・など、異業種の企業が集まりシェアしていた。

「当時、その地域はまだ住宅街。ちょうど裏原宿の文化が形成されていった時期でした。“人々の生活に密着した新しい技術や価値を創造し提案する”とい弊社の企業理念があるのですが、人の流れや熱を直に感じることができる素晴らしい環境に机を置くことができましたね。」

園田さんが見せてくれた雑誌「eciffo」の古い切り抜き。そのページには「倉庫オフィス」というタイトルで、巨大な倉庫の内側に建築内建築によって新たにオフィスを創造した斬新なデザインが掲載されていた。この記事から受けたオフィス感を、園田さんは現在も抱き続けているという。
既存の考えにとらわれず、新しい発想を生み出していくことは、最先端の技術を開発するエンジニア達の日常作業ともいえる。“いいモノを創るには、いい環境に身を置くことが大切”。 そう考える園田さんは、これまでのオフィスでも、機能性に増してデザイン性に重きを置いてきた。

このオフィスに移って 2ヶ月。モノができるスピードは格段に上がり、抜群のアクセスの良さのおかげで営業先も増えたそうだ。世界でも類の少ない高度な技術を抱えながらのオフィス移転歴。タイミングや時期を逃さずに実行に移すフットワークは、世の中の動きや自社に対する優れた洞察力があってこそのものだろう。

写真左下:ウタゴエ社の技術はすべて、この50平米強のオフィスで管理されている。

個人の感情を刺激する技術

毎週月曜日、ウタゴエ社では、自社で開発した技術サービス“meeting24.tv”を利用して、出社前に各社員が自宅にいながらパソコンを通じて会議を行っている。そうすることで、その日直行するメンバーは1度出社をするよりも効率的に1日のスタートをきることができる。
“meeting24.tv”は、24時間、最大24人で、TV(Web)会議ができる無料のサービス。会議に出席するメンバーが会議室に集まるのではなく、あらかじめ用意されたURLへ集合するというユニークな仕組み。

「1対1の同様のサービスはスカイプなどでありますが、多人数で利用でき、しかも安く、高品質で、大規模対応の映像配信技術となると、今のところ他に類はありません。先週はドイツからお客様がこのオフィスに見えられました。どこにオフィスを構えるかという問題もありますが、優れた技術を持ってさえいればどこにいても、それを欲しい、というお客様はいる。創ったモノが世界に広がる速さも、IT企業の強みですね。」

取材中、園田さんが見せてくれたiphoneの携帯ゲーム。画面の進行に合わせて、障害物や崖をジャンプして避けていくシンプルなゲームだが、子供の落書きが元となった「かーねこ(CarNeko)」の可愛さが憎い。他にも、撮影した写真にプリクラのようなデコレーションを楽しめるコンテンツや、あらゆる情報を一瞬でQRコードに変換できる便利なコンテンツを見せてもらった。このような携帯コンテンツの制作は、ウタゴエ社が最近新しく始めた事業なのだそう。

「先ほどのWeb会議を今度は携帯電話を使って利用できるようにするため、現在技術を開発しています。その過程で派生した部品を材料として、これらの携帯コンテンツの制作をスタートさせました。次の開発のフィールドとなる“携帯電話”を知るという狙いもありましたね。」

仕事の効率をあげるWEB会議のサービスと、個人が隙間時間に利用する携帯ゲーム。この2つが、1つの同じレール上にあることはなかなか想像できないかもしれない。しかしこれらはどちらも、利用する個人の心を、何かワクワクさせてくれるものとしては共通している。

写真上:ノートパソコン、デスクトップの縦使いで、スペースを最大限に活用している。

一貫したオフィス感

経験の蓄積の意味をもつ、“Bank Time”という、ウタゴエ社独自の福利厚生制度がある。勤務時間の10パーセント、つまり1週間のうち4時間は、社員が好きなように使ってよい時間とし、個人の様々な体験を社内へフィードバックしていこうとするものだ。ウタゴエ社では、実際にほとんどの社員がこの制度を利用している。

「社員やその家族に病気がちの人が出てきたり、最悪の場合スタッフ間のトラブルや会社での盗難が発生したり。そのような事態は、会社が中規模から大規模へ成長する過程で起こりやすい事象です。現状ですべてをカバーできているとは思っていませんが、そういった事態を避けるためにBank Timeのような制度を設けています。Bank Timeに何をして過ごすか・・・。自分が何を選択したかが本来の自分を再認識することにも繋がって、面白いですよ。」

園田さんも、Bank Timeを利用してキックボクシングや乗馬、水泳をして過ごしたり、毎週末には小旅行に出掛けているそうだ。会社の経営者でも家族の一員でもなく“個人としての時間”を楽しむことで、良いバランスを保ったまま、仕事や家庭でも過ごすことができる。
他にもウタゴエ社には、“C(コミュケーション) Day”という自宅で仕事をして良い日があったり、オフィス環境に“5感で感じるオフィス”というコンセプトが設定されていたりする。

「オフィス内に、視覚や触覚を刺激するデザインの面白いオブジェを飾ったり、音楽を流したり、スタッフへの福利厚生として、味覚を刺激するお菓子やジュースバーを設置したりしています。技術や価値を創造する企業という性質上、社員がストレスを感じない環境づくりを大事にしていますね。」

会社の古い慣習に従い、モノ創りをしているクリエイターは少なくないだろう。そんな中、既成のルールにとらわれず、自らの企業体質に合った新しいルールを構築しているウタゴエ社。
「eciffo」の切り抜きから受けたオフィス感は、空間選びのみにとどまらず、企業姿勢にまで一貫して影響を与えているようだ。

2009年2月25日『第2スカイビル』にて
撮影:岩田啓治 取材・文:和田亜弓(共にblue studio)

今回の入居物件のご紹介

東京都新宿区『第2スカイビル』
専有面積:50.69平米
竣工年:1968年
リノベーション完了:2008年6月





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