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INSIDE Vol.04


極少空間の
住みこなし

Vol.04

神奈川県横浜市『Glucks Garten』 新築 住居 シングル
専有面積: 22.10㎡
職種: 外資系企業インターナルオーディター
趣味: ワイン・作詞・インテリア

サンフランシスコ-パリ-NY、そして横浜へ

ブルースタジオが企画監修を手がけ、アトリエ天工人がデザインを手掛けた『Glucks Garten』は、コンクリートむき出しの壁が印象的なスタイリッシュな建物。

ここの2階に暮らしているのは、香本果林さん。サンフランシスコ―パリ―NY。20年間にわたる海外生活を経て、2008年6月に日本に帰国したばかり。日本に一時帰国した際に泊めてもらったのが、友人が住んでいる『Glucks Garten』の1室だったそう。『Glucks Garten』のキャッチコピーは“ペット応援団付アパートメント”。オーナー自身、動物が大好きで、ペットを飼っている入居者が多い。

「日本に帰国することが決まって住む場所を探していたけど、オシャレでペットを飼っていいところがなかなか見つからなかった。ここは、友達も住んでいるし、オーナーさんがとてもいい人で、住みたいなぁと考えていたんですが満室で・・・。それが、帰国の2週間前に運良く空き部屋が出たんです」

1面モルタル仕上げの床も、靴をはいたままの生活に慣れた果林さんには好都合だった。サンフランシスコから世界3都市を一緒に過ごしてきた猫のモーマスと2人、4都市目、横浜での生活がスタートした。

写真上:仏映画「L'amant」の大きなポスターは、パリの家でも飾っていたもの。住む場所が変わっても、インテリアはほとんど変わっていないそう。

モノを所有しない清さ

部屋に入ると、そこはムーディな異世界。『Glucks Garten』の中で最も小さく22平米しかない部屋だが、それを全く感じさせない見事な住みこなし! そして、驚くほどにモノが少ない。暖かい季節には、かさばる冬服を大きなスーツケースに詰めて、共用部にある入居者専用のトランクルームの中へ片付けてしまうそう。

「洋服はここに出ているものですべて。海外にいたときは、これよりもっと少なかったくらいです。大学の頃からずっとボーイッシュなスタイルが好きで、ワードローブには黒い服ばかり。他はレオパード柄と赤いスニーカーくらいしかないかも・・・。」

もともとテレビを見る習慣のない果林さんは、その分、ワインをゆっくりと飲む時間を毎日つくっているそう。上の階に住む友人もワインが大好き。お互いに猫を飼っているので、2人2匹で過ごすのもまた楽しい。

落ち着いたグレイッシュのトーンで統一されたインテリア。高級そうに見えるが、大抵の家具はIKEAやNOCEでリーズナブルに買い揃えたもの。ベッドは部屋の大きさに合わせ、IKEAの横幅80センチのマットレスを2つ重ねている。最小限のスペースに置かれたこのベッドは、来客時にはツインベッドに早変わりする。

写真右:部屋ではキャンドルの明かりだけで過ごすことが多い。

日本で、新しい生活のはじまり

「日本に戻ってきたという感じではなく、今、まさに新しい生活を始めている感覚です」

サンフランシスコでは、100平米を超えるロフト付きの部屋に住んでいたという果林さん。当時は、Cappelliniなどイタリアの高級家具に囲まれて生活していたそう。

「行きたいところにどこへでも行けて、欲しいものはなんでも買えて・・・。海外でそんな生活をしていた時期もありました。でも、ある時、それがすべてじゃないなと思って。持っていた家具などはすべて売って、モマちゃん(猫)とトランク1つだけを持って出てきたんです。今は日本にいて、普通の収入で普通の暮らしをしている。私にとっては、社会勉強をしているような気持ちです」

謙虚に、正直にそう話す香林さん。広い部屋に住むことや、一流品を所有することだけで、生活が豊かになるとは限らない。一方で、自分らしいスタイルでインテリアを楽しんだり工夫したり、大事な人やペットと暮らすことからは、生活に確かな豊かさが感じられる。また、“モノを持ちすぎないこと”を意識しながら暮らすことは、自分が本当に好きなモノが何なのかが明確になり、お金の使い方のセンスを磨くことにもつながっていく。

玄関ドアに、子供が描いた絵がテープで留めてある。これはペットの猫モーマスを描いた絵。『Glucks Garten』1階のアトリエに通う女の子が描いてくれたもの。サニタリーの窓際には、無造作に重ねられた何枚ものポストカードが。裏には友達からのメッセージが書かれていて、ガラス越しに外からも読めてしまうのだとか。果林さんが所有しているモノの量は少ないが、部屋に飾られた1つ1つのモノには、大切な思い出がたくさん詰まっているようだ。

たとえ小さな空間でも、これほどまでに素敵に住みこなすことができる。果林さんの部屋には、誰でもすぐに参考にできるインテリアのポイントがたくさんある。しかし、暮らしに対する高い意識や、誰とでもすぐに打ち解けてしまう底抜けた明るさは、長年の海外生活で身に染み付いているもの・・・誰もがマネできるものではない、果林さんの魅力だと思う。

2009年2月17日『Glucks Garten』にて
撮影:岩田啓治 取材・文:和田亜弓(共にblue studio)

今回の入居物件のご紹介

神奈川県横浜市『Glucks Garten』
専有面積:22.10平米
竣工年:2007年2月





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