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射程

こばゆ

心と体の健康を第一に暮らす。最近ハマっていることは公園で昼寝。AGRICULTUREとARCHITECTUREの融合を志す。その先に見える風景とは。


最近ザハ・ハディド・アーキテクツがコンペに勝利し、計画を進めているイギリスの木造のスタジアムが話題になっていますが、そんな中、最近完成した新国立競技場を見に行きました。

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(引用元:https://architecturehack.com/%E3%82%B6%E3%83%8F%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%84%E3%81%8C%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%A0%E8%A8%AD%E8%A8%88/)

去年の紅白歌合戦で嵐が早速ステージにしたことも記憶に新しい新国立競技場ですが、
僕自身は総武線の車窓から、ただぼんやりと眺めるだけで、徐々に出来上がっていく姿に、時々、数年前の論争を思い出すぐらいのものでした。
いざ完成した競技場を見て思ったのは、これは近景の建築、つまり、近づいて初めて良く見える建築だと思いました。


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少し建築から離れると、ルーバーという繊細な意匠の要素と、かなりのボリュームの設備類の無骨な要素が同時に見え、混沌としたファサードの印象を受けました。
しかし、仮囲いの外から極力近づいてみると、ルーバー庇が設備を隠し、4(5)段に分かれているルーバー庇が重なって見えてきます。
すると、とたんに、整っていて、迫力ある印象に変わりました。

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(引用元:https://www.jpnsport.go.jp/newstadium/)

新国立競技場に、僕は先ほど「近景の建築」と勝手にラベルを貼りましたが、数年前の議論は、思い返せば、まさに新国立競技場の建築がつくるランドスケープが主題だったように思えます。
ザハ氏の案に対する批評は、工事費に関するものもありましたが、それ以上に、神宮外苑の風景を台無しにするのではないか?というランドスケープに関する議論が、建築業界を中心にされていたと記憶しています。かくいう自分もザハ氏のパースを見たときのスケールの逸脱ぶりや、数年前にソウルの同氏の建築を見た経験から、これが神宮外苑にできてしまうのかと、不安に思っていました。

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(引用元:http://japan.hani.co.kr/arti/culture/20014.html)

様々な議論を経て、隈研吾氏の案が採用され、建築自体が完成を迎えた今、はたして、当時議論されたランドスケープの問題は回収されたのでしょうか?

そんなところに疑問を抱きつつも、建築は出来上がったので、「今後はどう使っていくか・周辺のまちはどう変化していくのか」という議論に変わっていくことでしょう。

友人とオリンピックのことで、熱を帯びた議論をしていた時の記憶が徐々に風化し、自分の中で、どこか冷めた眼差しで2020年夏を迎えようとしています。



とはいえ、今回の見学は学ぶことが多く、
建築を設計する上で、建築の影響する射程をしっかりと認識し、どう応答していくべきか。その検討の重要さを改めて思い知らされました。





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