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どこまでペット?

さかぐち

鹿児島県出身。ラジオと映画とジャスミンに囲まれて生活中。時の流れに身をまかせ、いつの日か向田邦子になるのが夢です。


よく住まい探しの条件として「ペット可」とか「ペット不可」なんて書かれてますよね。

一括りにペットというと、ワンちゃん、猫ちゃんを飼われている方にとってはすごく冷めた言い方になってしまうとは思うのですが、今回はご勘弁を。

というのも、私も飼っていたんです、ペット。

それは今考えると、代表的なワンちゃん、猫ちゃんではなく、ちょっと変わった生き物でした。

一家5人中、4人が犬猫苦手(可愛いとは思うのですが、触れない系)な家系だったこともあり、

まず初めに飼った?いやいや、勝手に連れてきたのは『シロアリ』でした。

今でも鮮明に覚えているのですが、

小学校2年生の夏休み、机に向かって宿題をしていた私に、外から帰ってきた汗だくの父が何やら興奮気味にモノを差し出してきたのです。

それは、夏によく登場する麦茶ポットでしたが、その透明なガラス容器の中に見えたのは、朽ちた木材と所々点在する「白い点」でした。

今であれば、「何してるの!?」で一喝するのでしょうが、
その頃、何にでも興味津々だった小学校2年生の私は初めて見るシロアリにこれ以上ないほど目を光らせていました。

小さな工務店を営む私の実家。

施工現場でシロアリを見つけることは容易なことだとは思いますが、

娘を思ってシロアリを咄嗟にポットにしまって持ち帰ってくる父は世界中どこを探しても私の父くらいなものです。

その後のシロアリたちですが、主に父と幼い私で毎日様子を観察しては、彼らのエサとなる具合の悪そうな木々たちを動かしてみて、彼らのために住環境を変えたりなんてことも。

とはいえ、シロアリとの共存もそこまで長くは続かず、1ヶ月もしない頃に突然、大人の事情で姿をくらませてしまいました。

と、短い飼育期間でしたが、幼い頃の私にとって、それは自分以外の他者(シロアリ)を思いやるという貴重な体験になったわけです。

なので、時々「シロアリ退治!」のコマーシャルを見ると悲しい気持ちになってしまいます...

人を癒す、かげがえのない存在、ペット。
その素直で愛くるしい姿に人は幸せを感じるのかもしれません。

私もいつかシロアリ以外の生き物を飼ってみたいなぁ、と思う今日この頃です。





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